老人会のおじさんがやってきて
うちのじいちゃんの事を聞いてきた。
いつも自分から出たがっていたのが
このところ足が遠のいているからだ
骨髄癌で自分で血が作れない
そこで毎週輸血で何とかしのいでいる
老人は進行が遅いから
かなり前から癌を患っていても
介護状態にもならず元気だ。
ただ血が無くなると力が出ないという。
輸血もしてしばらくは体力が回復するという
しかしそれもほんのひと時だそうだ。
公民館まで行くのもつらいのかと思う
やってきたおじさんはじいちゃんから
キーボードを借りる約束をしているという
あああれかと取ってきてやることにする。
駅中ピアノの番組をよく見ているから
自分でも弾きたくなったか
キーボードなんか買ってどうするんだと思ったが
使い道はあるものだ。
息子君に「キーボードをじいちゃんが買っちゃったんだけど
お前にくれるって言ってたよ」といったことがある
息子君も昔ピアノを習っていたから
また趣味で弾いてくれないかなと期待したが
ダメだった。
老人会のおじさんは
これお父さんにと何か持ってきてくれた。
じいちゃんにに包みのまま渡しておいたが
うちではめったに買わない刺身が入っていて
やったねと思った。
じいちゃんはあまり食べないから
残りを僕がもらった。
いつも僕がプリンを買ってきておいておくと
それを食べてしまったじいちゃんが
バツが悪いのか言い訳の代わりに
「プリンなんか買ってくるな、あんな物!」
「お前が食べると太るから俺が食べた」とうるさい
そこで僕が言った
「あれはお父さんに買ってきてるんだよ
最近食が進まないことが多いだろ
だからってなにも食べないんじゃそこから体が
まいっちゃう。
だからプリンなら食べられるんじゃないかってね」
すると買ってきたプリンが毎日いくつか
無くなるようになった。
あと何年間こんな日が続くんだろうね。