義母と一緒にはるばる彼女がやって来た
夜10時に公園で待ち合わせる約束だったが
そこに車を止めたら夜遅くに公園には入れないと
警手さんに追い返されたという。
義母らしいなと思う
「すぐに行きます」と出ることにした。
「公園東側入口」と言っていた。
東側と言ったらうちとは反対側だろ?。
うちの場所を知っているはずだから
大体あそこだなと思って行った駐車場に
彼女を乗せた車はあらわれない
心配になって電話を掛ける
すると大学の近くにいるという。
本当だ。東側だ。
「すぐにそちらに向かいます」と言って
出る。
大学の門の近くに止めて待つが一向に現れない
一体どこに行ったのだろう。
すると僕の車の横を通り過ぎて行った白い車があった。
運転しているのは確かに義母だ。
ヘッドライトで合図をしたが気が付いていなかった。
車を降りて近づいて行く。そして車のドアをノックする。
やっとノックに気が付いた。
車を降りて来たので挨拶する。
3人でいろいろ話し始めたが彼女の声がちょっと大きい。
もうちょっと静かに話そうと言ってもダメなので
車の中で話すことにする。
今度は大学の警手さんが正門の前に車を止めて
何事だろうと様子を見に来た。
僕は簡単に事情を話してすぐにその場から移動する。
義母の話は彼女を近くに置いてまた面倒を見てやって欲しいと
いうものだった。
「年金が500万円入るからそれを全部あなたのものにしていいから」
昔もそんな事言ってたなと思う。
元奥さんに「お金は○○ちゃんのものだから自分の為に
使うんだよ。弟君に預けた方がいいよ」という。
義母は「私はもう足を痛めてくることができないから
あなたと会えるのもお話しするのもこれが最後です」と言う。
僕は「もう僕には僕の生活があるのでそれはできません」と言っておく。
そして「僕の今があるのは彼女のおかげだからすごく感謝しています。
だからもし何かどうしても僕が必要な時があれば
電話番号は変えませんから連絡してください」と言った。
そう、僕は携帯の電話番号は変えたことが無い。
というのはこのためだった。
番号は僕が死ぬその時まで変えないつもりだ。
「あなたが私と結婚した時の年齢になりました」
と彼女が言う。
まだ綺麗だなと思った。
彼女には本当に申し訳なかった。
どうして普通になったのにまた薬漬けになっちゃったんだよ
そう言うしかなかった。
彼女には弟がいる。
ものすごく有名なIT企業で彼女の面倒を見るのに
金銭的な心配はないだろう。
もうこれ以上一緒にいても話すことはない
元奥さんは「どこかのハンバーガー屋さんにでも
行ってお話を続けましょう」と言ったが
彼女の状態からそれは無理だなと思った。
彼女は僕と出会えて幸せだったのかな。
僕なんかで会わない方がよかったんじゃないか。
でも、彼女の気持ちを分かってあげて
ひと時でも一緒に暮らせる人間は
多分僕だけだったろうなと思う。
恐らく、まったく普通の女の子が
毒親の妙な教育方針で狂わされて
雅子さまのような状態になったのだと思う。
雅子さまのニュースを知った時
他人事とは思えなかったし
彼女の心理を僕ならわかるなと思った。
まあ身分が違い過ぎるからでしゃばる事はできないが。
うちの父親が大学が学習院で同窓会で
天皇陛下(今は上皇)と握手をしたときの写真がある
その息子さんである今の天皇と僕は同い年で
奥さんも同様の状態になっているなんて
なんかまあ、ものすごくへんてこりんな人生だなと思う。