夜中猫が喧嘩している。

どうやらあの鳴き声はうちのネコだ

近所の野良猫が喧嘩相手になっている

 

しかしほうっておくわけにはいかない

止めさせないと

静まり返った夜中の3時に

あの声はすごく響く

近所迷惑だと苦情が来たら大変だ。

そこで僕が出て行く。

 

昨日は一つ先のマンションの

地上駐車場でにらみ合っていた

今日はその手前のアパートの駐車場だ

 

僕が近づいて行っても

2匹は喧嘩に全集中しているので

そこから動かない

 

そっと手を伸ばすと2匹は

そこから1mほど戦いの場所をずらす

僕も2匹を引き離さなきゃいけないと

追いかけて行く。

うちのネコがケガさせられたらたまらないと

手を伸ばして抱きかかえようとしたら

いつものアカヤじゃなかった

 

もがいて必死に僕の手を振りほどこうと

後ろ足で蹴って前足で何か所も引っ掻いて来た。

堪らず 放す。

 

しかし2匹はばらばらに逃げたので

うるさい鳴き声は無くなった。

アカヤは家の方へ歩いて行ったようだった。

僕はじんじんする痛みを感じながら帰る。

帰ってみると3か所鋭い爪で引っ掻かれていて

一ケ所は爪が皮膚を突き破って

これはすぐには直らないなと言う感じだった。

 

しかしもう30分ほどたつとまた猫の唸り声が聞こえて来た

さっきと同じだ。

静かな闇の中に猫の声が音色を変えながら響いている

大変だと今度はペットボトルに水を半分入れて持って行った。

可哀想だがこれで頭を冷やしてもらう

 

先ほどのところでまた二匹は向かいあっている。

もう引っ掻かれるのは嫌だから水を掛ける動作をすると

水を掛けられるのを察知して二匹は離れた。

そしてまた別々の方向に逃げて行ったので家に戻る。

 

いつも煙草を買いに来る彼に

「昨日猫に引っ掻かれました」と話をする。

「喧嘩してうるさかったから。

一匹はうちのネコだったので

放っておいたら近所迷惑だから捕まえに行ったのです」

 

そう言うと、彼は

「そう言えば昨日猫の声がうるさかったですね」と言う。

「一回止んだと思ったらしばらくしてまたうるさくなって

まあそれはすぐに止んだけど」

彼がそう言うので

「猫の声が二回止んだのは

止めたのは実は僕なんです」と種明かしをした。

 

むかしはネコが鳴いてもなんの問題もなかったけど

今はそういうわけにはいかない。

何年か前、うちの近所にいた野良猫がいっぺんにいなくなり

近所で「どうしたんだろうね?」と話題になった事があった。

丁度そのときだ。うちで首輪も付けずに外飼いしていた猫のクロヤが

水道の所まで帰って来たが硬直した骸になって

発見されたのは

 

誰かが退くを盛って駆除したのだろうと思ったが

こんな事重大問題にできない。

しかし、やはり猫も自由気ままにされたら

迷惑に感じる人もいるだろう。

あの時の轍を踏んだら嫌だ。

ネコにはそんな事分からないから

飼い主が気を付けてやるしかない。

 

昨日の話だが反省したのか

今日は僕の部屋に寝に来たので安心だ。