息子くん

「駅まで送って行ってくんない?」

そう言って僕の所に来た。

今日は早いなと思ったが

もう行くのか?と聞く

そうだと言うから僕も行く支度をする。

 

そして駅まで車で送って行ったが

帰ってきたら

「駿台予備校から電話がかかって来たぞ」

と、じいちゃんが教えてくれた。

 

「ええ、もう行きました」

そう言っておいてくれたという。

「あいつは予備校へ行ったんだろう?

本当に大丈夫なのか?」

心配げに聞いてくる。

 

よほど優秀な子供の親でない限り

誰もがこの時期切実に感じる事だろう。

僕も心配だがじいちゃんはさらに

言動に出る事がある

それはしっかり止めておかないといけない

 

実の息子の僕がそうだったのだから

あの悲劇は繰り返せない

 

もう40年以上昔だが、干渉が酷すぎて

模試の偏差値は軒並み70%を超えていたが

直前むしゃくしゃして勉強できなかった。

まあいろいろな考えがあったのだが

受けた大学は軒並み落ちた。

 

母親に

「お父さんの干渉が邪魔で

あれが無くならないと来年も全部落ちるよ」

そう言って母親から父親に伝えてもらった。

 

翌年は死に物狂いだったけど

父親は一切干渉してこなかった。

そして早稲田政経を除いて全部受かったんだ。

 

「俺なんかが何を言っても無駄だ

やるのはあいつなんだから

黙って見ているしかない」

そうやって「送ってくれ」と言えば送ってやるし

回りの環境を整えてやる

それが息子くんに対する応援だ

そう考えてやるしかない。

 

駿台予備校は息子くんが前回模試を受け損なったので

わざわざ電話をかけて来てくれたのだ。

 

未開封の前回の記述式模試がテーブルの上に載っていた。

模試は大事だよな。できなくても解説がかなり参考になる。

復習してないんだな、本当に大丈夫なのかなと思う。