「うちの孫がまだ帰って来ていないんですが」
血相を変えて飛び込んで来た女性がいた。
どういう事かと聞いてみると
「お宅の息子さんが誘いに来てそのまま帰って来ていない」という。
それは申し訳ないとこちらとしては
平身低頭だった。
6時過ぎでそんなに遅い時間でもないのにな・・・と思う。
確かに今の時期は6時はもう真っ暗だ
心配する家庭もあるんだろうな。
この前なんか2日続けて帰って来たのが夜中だ。
しかし大学受験がある身なのにまた遊びに行ってるんだと
悲しくなった。
息子の電話番号に携帯で電話する。
でも出てこないんだよなと思うとやっぱり出てこない
「すいません。僕からの電話だと出ない事があるみたいで
携帯持っておられますか?」と聞く。
「持っていません」という事だった。
ラインにも
「おばあちゃんが心配してうちの店に来ているから
友達を早く帰宅させてくれ」と書き込む。
でも息子くんはなかなか既読が付かないんだ。
父親が自分の携帯で「これで掛けろ!」と言って来る。
そこで掛けようとしていると
「小学校4年だから・・」とお孫さんの事を話しているのに気が付く。
小学校4年の友達が息子くんにいるはずはないな。
そこで僕は「お孫さんは小学校4年生ですか?
うちの息子は大学受験に落ちて今浪人生ですが」
と言う。
すると今度は彼女の血の気が引くのが伝わってきた。
どうやら「笹兆にいる」と言うので
笹兆の息子さんが誘いに来たと思い込んだみたいだ。
「たぶんうちの店が待ち合せ場所だったんでしょ」
やれやれと思いながら説明してやると
彼女も納得して帰って行った。
また勉強しないでさぼって友達と遊びに行ってるんだ
一瞬暗くなって息子くんに「連絡しろ!」と留守電に吹き込んだ
僕もホッとした。
息子くんに事情を話して
「お前の電話に分けの分からない事を吹き込んじゃったけど
なんでもないから」と訂正しておく。
前にもこういう事があったような気がする。