店番をしていたら

電話がかかって来て

取ってみたら近所のお店やさんの

オヤジさんの声だ。

 

オヤジさん、相手が僕だとわかると

またあとで掛けますって切った。

 

春先にあと数か月で店じまいすると言っていた

酒屋さんだったけど

まだ細々と店を開けている。

 

妹おばちゃんのラインを読んで

エッ!と思った

オヤジさんの電話がかかってきたとき

じいちゃんと会話しているのを

聞いたという

 

うちの店を買ってくれないか?

 

冗談を真に受けるんだよ、じいは。

妹おばちゃんは冗談だと思ってる

だけど最初僕に電話をかけて来て

息子さんには持ち掛けられないという電話を

また掛けて来たっていう事を知れば

本気の電話だってわかるだろう。

 

もうこの辺の小さなお店はどんどん廃業している

これも時代の流れで

大きな資本に飲み込まれて

そういう世界になるのだろう。

 

なにはともあれ、そういう話だったのかと分かった以上

じいちゃんにはそういう話には乗らないでくれと

釘を刺しておかなきゃならない。

 

うちは周りから見れば

ものすごい資産家に見えるかもだけど

内実は余裕なんてない

自分のテリトリーを守って

よそ様に迷惑をかけない

何とか税金を払う

そんな普通の家だ。

可哀想だがそれ以上のことはできない。

 

でも自分が生涯をかけて守った城を

うちにゆだねてくれようと言うのは

なんともうれしい話ではある。

まあ最近では自分の家の土地を担保に入れて

老後資金を貸してくれる銀行もあるから

それでパーッと余生を楽しめ