妹おばちゃんが

僕の手のひらに

これお母さんといって

埃のような骨片を

置いて行った。

 

捨てるわけにもいかず

僕はそれを舐めた

息子くんが

それを見て

目をそらすのに気が付いた

 

葬儀が終わった。

残された遺族も

また歩き始めねばならない。

息子くんにも早速今日の夜から

臨海セミナーに行ってもらわないと

 

しかし息子くんは精神的ショックが大きい

明日から通常に戻ると言いだした。

ばあちゃんが亡くなったのが

そんなに響いたのか?

聞いてみると、「そうじゃない」という。

「今まで身近に生きていた人の骨を

間近に見たのがいつまでも焼き付いてる」という。

そして、僕が骨粉を口にしたのを見て

「ドン引きしたんだ」という。

 

お骨上げの時息子くんが最後に促されて

ばあちゃんの骨を菜箸でつまんでいたわけが分かった。

嫌だから隠れていたけど

結局そうはいかなかったんだ。

 

しかし、そんな事で前に進めなくなるんじゃ

ばあちゃんも悲しむ。

臨海セミナーに送った後妹おばちゃんに電話すると

意外な言葉が返ってきた。

 

「うちもそうだったよ」

妹おばちゃんは骨粉を自分に着けた後

彼女の息子くんにも着けてあげたそうだけど

その時

「ふざけるんじゃねえ!」と怒鳴られたそうだ。

 

結局、若い人たちの感じ方って違うんだね。

気持ち悪くなかったのは

自分たち兄妹だけだったねと言っていた。

 

骨が肉の衣装をまとって動いてるだけなんていうのが

人間の正体だ。

肉が動き回るために骨を利用しているともいえる。

本当に不思議だけど。