ばーちゃんが東海大学病院に入院して

猫の餌が無くなった。

 

じいちゃん、そんな物買って来るなと

言っていたくせに

アカヤがねだって来て筒の中にキャットフードが

無くなると

急に慌てて猫の餌を買って来いと言いだした。

 

言われなくても

買って来ようと思っていた。

そこで近くのスギ薬局に行ってキャットフードを買う。

 

そしてレジに並んだ。

僕の前には僕より年長のご夫婦が

尿漏れパッドとかそういうのを買っていた。

 

別にまったく普通のことで僕は何とも思ってないのだが

妙にオジサンの方がそわそわしだした。

僕の事を気にしているみたいだ。

ここでは多と思い当たることがあり

それが原因だなと思う。

咳払いだ。

 

自分の気管が狭いかなんかして

若い頃からなんとなく咳払いが多い。

オジサンはそれを気にしてるんだなと思った。

そうだと分かった以上不要な咳払いは止めたが

今までさんざん気にしていたオジサンは

いつまでも恐縮しているみたいだ。

うわあとこっちも恐縮する。

 

会計が終わってご夫婦が立ち去ろうとするとき

オジサンは僕にすみませんでしたと会釈していった。

僕が何を怒っていると思ったんだろうか?

僕は気に入らない事があったって

咳払いでそれをどうにかするなんて

考えた事もない。


何とかこの誤解を解きたいが

解く方法はない。

本屋で本を立ち読みするときに

困るんだ。

 

僕がうっかり咳払いをしてしまうと

回りで本を立ち読みしている人が

本を戻したりそわそわしたりする。

本当に嫌な癖だ。