スポーツセンターから電話がかかってくる
テニスコート側だ。
自販機の不調だろう。
要点を早く知りたいので
「自販機の不調ですか?」と
単刀直入に聞く。
「ハイそうです。
スプライトを押したら
2本出て来てしまいまして」
久しぶりに聞く自販機の不調の内容だ。
自販機を入れた当初は
この不調で何度店とここを往復したか
酷いときは1度ボタンを押すと
自販機に入れたジュースが
雪崩式に全部出て来た事もあった。
それも1度や2度ではない。
まったく気前のいい販売機だなと
手を焼いていた。
何年もやっているうちに
一つのコラムに
いっぱいにジュースを補充したら
そうなるという事が分かって来て
だんだんその苦情は無くなって来た。
「一回ボタン押しただけなんですけど
2本出てきました」という職員さんが
買ってくれたんだそうだ。
「特にお客様に迷惑をかけたなんてことは
無いですね」と確認して
「昔はこの販売機、
こういう事がよくあったんですよね。
また最近気前が良くなってきたかな」
「職員さんだから教えて下さったけれど
もしかしたら、これで得してるお客さんも
いるかもですね」と僕が言う。
「仕方ないですけどね」と諦めの境地だった。