マンションの手摺りのペンキ塗りをしていると

住人の奥さんが「そんなことまでやっちゃうの?」

と言っていた。

 

「うちのじいちゃん、金使いたがらないから

前回も前々回も僕が塗ったんです。

塗装屋さんに頼んでくれればいいんですけどね」

 

「まあ、頼むとお金がかかるから仕方ないね」

 

階段の入り口のコンクリートと地面の間にも

隙間が空いていて補修をしておかないとみっともない

 

そこで補修用パテを埋め込むことにした

 

かなり前のパテだけどまだ使えるみたいで

やるなら今のうちだった

 

そして隙間にパテを詰めて

右手でへらを使って均そうとしたがなかなかうまくいかない。

まあ誰がやってもこんなもんなのかな

素人だから・・  

 

そう思ってのだけれど

へらを左手に持ち替えて均して見ると

あれよあれよと思い通りに動くのがわかった。

 

交通事故の後遺症のある右手はやっぱり職人向きじゃないな

そう思った。

 

そう言えばこの前マンションのひび割れ補修材を補充銃を使って

ひび割れの中に注ぎ込もうとしたときも

右手ではうまく狙いが定まらなくて

高い薬剤を大分無駄にした。

 

引き金を引くたびに液が飛び出る銃口が上を向いてしまう。

次の日妹おばちゃんが大分下の階が固まってるよと言っていた。

左手で銃を握った別のひびには一発だったのに。

 

ばあちゃんにこのことを話してみる

ばあちゃんは加齢のせいで何もしなくても左手が震えている

 

「私は左手が震えるだけでもかなり不便だもん

右手が聞かないのがどんなに不便かは分かるよ」

と言ってくれた。

 

幸いにしてじいちゃんは手の震えで困ることはない