農協に行ってお金を降ろして来ようと思った。

しかし店の前を通り過ぎる時マスクを忘れたのに気が付いた。

途中にある店の中から取ってくればいいや

そう思って店の中を覗き込むと

ラオス人のおばちゃんが父親と話をしていた。

 

おばちゃんは中村屋のどら焼きを作る工場で働いているという。

働いている従業員に製造しているどら焼きについて

どういう感想かとアンケートを取ろうとしているのだ。

 

ラオス人の彼女は

自分はかけないからうちの父親に

代わりに書いてくれと頼んできたのだ。

 

父親は店で売っているどら焼きの袋を比較のためと称して開けてしまった。

なぜそこまでする?

そう思って僕は一瞬目を剥いた。

自分の持ってきたどら焼きに対する感想だけもらう心算だったので

おばちゃんもソンナノヒツヨウナイヨ。リカイデキナイヨと言っている。

それを聞いて僕も面白かった。

 

しかし父親に頼み込んでもいろんな方向に脱線して

なかなか言った通りのことをやってもらえなくて困っているのがわかったから

僕が書いてあげるよとアンケート用紙を取った。

 

ラオスのおばちゃんはホッとした様子でアリガトオニイチャンと言っている。

おばちゃんからもらったやつを食べてみると

父親が封を開けたうちの店で売ってるやつとはグレードの違いがすぐに分かった。

 

中村屋の方がしっとりもちもちしていて餡もおいしい。

うちで売っているやつは5つの袋詰めのどら焼きで

ちょっとしたお茶菓子用だ。、

単品または化粧箱詰めで贈答用として勝負する中村屋どら焼きと

勝負にならないという事は勉強になった。

 

そしてそう言う事をアンケート用紙に書いてやる。

とても感謝してくれた。

 

話しはほとんど不都合なくできるが日本語の読み書きは難しい。

アンケート用紙を渡されても問題が解けない生徒の様に

みじめな気持ちだったんだろうなと思った。