母親を乗せて山道を
南毛利内科から戻ってくるとき
言っていた
「私はよくこの先まで散歩に来るんだけど
この間ここで自殺があったって言うから
気味悪くて一人で歩けなくなっちゃった。」
若い男性で警察も来たという。
それは当然と言えば当然だけど
「どうしてこんなところで自殺なんかするんだ」と
言っていた。
僕は「全然知らなかった」と答える。
そうやって人が亡くなってるんだけど
知らない場所なんて
たくさんあるんだろうな
でも気の毒な事だ
ふと思ったのは
こんなところで自殺したなんて
優しい人だったのかなと
繁華街のビルから飛び降り自殺して
人を巻き込むなんてことはないし
電車に身投げして大勢の人に
迷惑もかけない
通学する小学生が発見したりしたら
トラウマになっちゃいそうだけど
その辺の事情はよく知らない。
「そんな話聞かなきゃよかった。
俺がここを通る時怖くなっちゃったよ」と言う
よくまあ僕の耳にも入らなかったもんだ。
そうやってあまり普段の生活に
波紋を起こさぬように
処理されるものなのかな。