アカヤはしきりに僕に何かを言いたがっている。

猫の言葉は分からない。

 

僕がテレビの前の椅子に座る。

アカヤが近づいてきた。

また僕に何か頼んでくるかな?

横目でちらっと見てアカヤの表情を伺う

 

思った通り僕の方を見ている。

いつもの様に後ろ足で立ち上がって

二本の前足を僕に掛ける

それだけじゃまだ動かない

 

そこから右前足を伸ばして僕をちょんとたたいてきた。

そこで僕は「わかった、言う事を聞いてやる」と言う風に

すくっと立ち上がる。

 

そしてアカヤの後をついて行ってやるが

餌のお皿の方へは行かない

居間から出たがっている。

 

また玄関のドアを開けてくれって言うのか?

さっき出してやったばかりだ

すると居間から出たアカヤは玄関の方に右折せず

反対に左折した

 

そちらにあるのはトイレと浴室。

ドアを開ければ台所にもつながる

アカヤの行動を見ているとドアを開けても台所に行こうとはしなかった。

 

さては浴室だなと思う。

アカヤが浴室に僕を誘う時はその意味が決まっている。

 

水が飲みたい

 

それに気が付いた僕はネコのお皿の水を見に行く。

お皿の中に水は入っている。

 

しかし中に鰹節やキャットフードが少し入っている。

そう、僕は知っている。

 

アカヤは新鮮な水道水が好きなんだ。

 

そこで古くなった水を入れ替えてやる。

 

台所仕事をしていたばーちゃんにも

今アカヤが風呂場に行った事を伝えて

「そうするときは水が飲みたいと言うサインなんだ」

と教えてやる。

 

「水なんか飲まないじゃん」と

ばーちゃんは言っていたが

浴室から戻って来て

ちゃんとお椀にきれいな水が入っている事を確認して

アカヤはやっと自分の意思が伝わったとばかりに

お皿に頭を突っ込んで飲み始めた。

 

いつまでたっても飲み終わらない。

 

すごく喉が渇いてたんだ。

しかし、よく自分の意思を人に伝えることができたなと思う。