天野博物館のブザーを押すロッシの指の動きも止まった。
でも、ロッシは諦めたわけではなく、次に取るべき行動が
はっきりわかっていたという事だそうです。
なら、今から電話すればいいわ。
今来た道を引き返し、交差点の所に公衆電話があったのを覚えていた彼女は
すぐにそこから電話してくれたそうです。ルイスの名前も出していたので
彼があらかじめ申し込んでくれていたのかもしれなかったとびりー君は思いました。
受話器を戻した彼女はびりー君を見て頷くと「天野博物館へ行きましょう」と言いました。
びりー君は彼女について行くしかなかったそうです。
再び博物館の門の前に立つ。そしてロッシは電話で教えてもらった前とは別のボタンを押したそうです。
すると建物の中から館員の男性が出てきて門を開けてくれました。
どうやら展示品を見る事ができそうだとびりー君はロッシに感謝の気持ちでいっぱいだったそうです。
館員に連れられて建物の中に入りました。ミラフローレス地区の目立って大きいというわけでもない
周囲に溶け込んだ3階建ての建物です。
建物に入り入口付近でびりー君たちは暫く待たされたそうです。すると、今度は明らかに
日本人の顔をした女性の館員が出てきてびりー君たちの案内をしてくれたという事です。
ただそこでも時間のめぐりあわせが悪かったみたいで、「少し待ってください」という事でした。
外見は日本人そのものなのに、彼女の口から離される言葉はスペイン語でした。
日本人の顔をしている彼女の口からは一言も日本語を聞くことはできなかったそうです。
心なしか気の毒そうにロッシと話をしていましたが、それはどうやら次の回の展示品の案内役には
日本語を話せる人は付きませんと話していたらしいことにあとで気が付いたということです。