「パパ、50m6秒8だった。

クラスで1番早い」

チビは誇らしげだ。

 

「うそ、じゃあ俺より早いじゃん」

 

「昔、パパが中学の時

50mが7:00でクラスで1番早かった」

そう言ってやったことがある

「うそ、パパそんなに速かったの?」

 

いつも小学校のかけっこでは

びりから1番か2番だ

その時どうやったら早くなるか教えてやった
 
「ヨーイドンでスタートを切ったら
できるだけ体を丸めて重心を前にして
膝を上げて回転させて
ゴールは見ないで自分の5m先の地面を見つめて
回りの人に注意を向けないで一心不乱に
そして自分は弾丸になったと思って一気に駆け抜けろ!」
 
するとそれまで練習でどん尻だったのが
いきなり本番で2位になった。
 
みんなは「○○ちゃんは
練習の時は本気を出してなかったんだよな」と言っていたそうだ。
へえー、あんなアドバイスが効いたんだと僕が驚いた
 
「50mもパパのアドバイスを思い出して走ったんだろ?」と聞いてみた
「ううん、自分の考えで走った」だって
もう素直には「うん」と言わない年ごろになったんだな。
 
中一の時「国語のテストの成績がどうしても上がらないんだ
他の科目で90点以上取っても国語が足を引っ張っちゃう」
 
またまた父の教えの出番だ
 
「問題文の長文を読むから時間が無くなる。
設問を先に読め
そして設問を読んでみると
選択肢の中には本文を読まなくったってこれは違うと言うのが
いくつか混ざってる。それを切れ!」
「正解かどうかと微妙なものを本文の該当箇所に照らし合わせて検討するんだ
それで正解だと思うものを選んだらすぐにマークして
もう後ろは振り返らないでひたすら問題を解け!」
 
それを実践させたら大幅に点数が上がって
先生も「今回はテストが易しかったんですかね」と
三者面談の時びっくりしてたよ。
 
いつかチビがパパになった時
あの時パパが教えてくれたっけと思い出すかな。