どうやって解けるんだろうなと思って
チビの答案を眺める。
ああそうか
展開してある数式を無理やり因数分解して
足りない数字は想像で仮定して
移項してある数字と加減計算すればいいんだ。
ふーん
あの頃は気が付かなかったな
でも我慢してやっておけばよかったなと思う
交通事故のせいで右手で字を書くのが遅くって
自分で言い訳を作って文系に絞ってしまって
得意な英語を主体に勉強を組み立てたはいいけど
先生がある時書き取りのテストをするようになった。
短い時間では追いつかない
僕はこんなことで振り落とされたらたまらないと
先生に直談判に行ったんだ
僕は圧倒的に不利だからそういう試験はやめてくれって
泣きながらだった。
今から考えればおかしな話で、みんなの勉強の邪魔しちゃったなと思う
だけど、先生は、やめてくれたよ。
別の担任の先生が、僕に左手で字を書いたらって勧めてくれたの
それが原因だったんだろうと思う。
先生は「小さいころぎっちょ(左利き)で、社会生活が送りにくいからと
親に強制的に直させられた」という。
「オレが左から右に変わったんだからお前は右から左になれるだろう」って。
それからすぐに左利きになったね。高校1年の時だった。
数学も好きな科目だったからまたやるぞなんて思っていたら
チビに追い抜かれてしまって
親としてはうれしいけど面目がない。