どうやって籍なんか抜けばいいんだ。何か方法があるはずだ。とにかく大叔母が事態を把握しないといけない。然しどうやって知らせるか。

 

帰ってすぐ父親に衝撃的な事実を伝える。

 

「シオちゃんが大叔母さんの籍に入ったって」

父親の目はさらに大きく見開かれた。

「そんな事できっこねえじゃねえか。叔母さん、どうしてそんな事やられちゃったんだ。もっとしっかりしてくれなきゃ困るよなあ!」

 

僕は父親に女が夫婦で頻繁に大叔母の周りに姿を見せるようになったことを教えていた。

別の親戚の大叔母さんの吉江さんからもそのことに「注意しなさいよ」と言う警告を受けていた。

いつだったか、女の車に乗せられて大叔母さんがご機嫌伺いに来たという。

吉江さんが快く思っていない事はあの女にもよくわかっているが、既成事実をたくさん作って足場を固める心算だったのだろう。

 

大叔母さんの方は、自分が自由に動き回れる足ができたので方々の親戚中を巡っていた。吉江さんは、うちと女に取り付かれた資産家の大叔母さんの昔からの深い中を知っているので、「似たような話はほかにもあるよ、戸籍には入り込まれないように気を付けなよ」と助言してくれていた。

 

僕は、その頃大叔母の農地に混在した他人名義の土地を時効取得する手伝いをしていたので、彼女の戸籍を見る機会があり、他人の名前がない事は確認していた。

 

大叔母の戸籍が問題だ。あの女が本当に入り込んでいるのか確認しなければならない。然し大叔母はそんなことはないと信じ切っている。盆の集まりで女の旦那が目の前で発表した時も「それは事実じゃない」と譲らなかった。自分の意思が入ってないのに勝手に入り込めるはずがないと。

 

そんなような具合だから、おそらく彼女の親戚が大勢集まる現場に連れていかれて知らない文書に記名捺印させられてしまったのだろう。養子に入る手続きはこの時は知らなかったが実に簡単だ。

 

もしかしたら、記名捺印しても自分が認めていないから大丈夫だと自己完結していたのかもしれない。大叔母さんはそういう人だから。