チビが書初めを書いていない。

ゆっくりしてるね。

「早く宿題の書初め書けよ」と僕が焦る。

 

書き始めようとしないチビに僕が言う。

「いいか。書初めは忘れても免除してもらえない

またわざわざ書いて持って行かなきゃならないよ!

期限が遅れて印象悪くするだけ損だよ」

 

そう言うと、

去年のことを思い出したのか

おととしのことを思い出したのか

はたまたその前もか

 

「書くよ」と言って書くモードになってきた。

しかし、学校からもらってきた書初め用紙が見つからない。

捨ててないからこの辺にあるはずだと思って

大急ぎでリビングに積み重ねてある紙をひっくり返す

 

見つからないよ

 

今は店舗改装の真っ最中。家族総出で棚を動かしたりしてる。

そこに行って、焦る僕が「うちに書初め用紙あるか?」と言うと

ばあちゃんが「ない!」という。

 

僕が「買ってくるか」と言うと、じいちゃんが「どうしてそんな事するんだ。

うちに売っている」と怒鳴った!

 

それを持って家に行こうとすると、ばーちゃんに止められた

「その紙見せてごらん。条幅は書初めには大きすぎる。」

「バッカ! それでいいんだ!」とじいちゃん

 

「ちょっと待ってよ、さっき買いに来た子はその紙持って行ったんだよ!」と妹

「大きすぎるの売っちゃったんじゃないの?」別の妹が言う。

「それでいいんだ」と父親は言い張る

「条幅だよ」母親は指摘する

僕は「もうダイソーで買ってくればいいじゃん」という。

 

「さっきの子、どうすんのよ、大きいの売っちゃった!」

これはどうにもならんだろ?と思っていると

「じゃあ、お兄ちゃんはダイソーで買ってきなよ」と二人の妹に言われる。

 

しかし、明日から学校だというこの日はどこの子供も書初めに精を出しているみたいで

ダイソーでは売り切れ、次の店も売り切れ、最後の量販店でも売り切れだ。

駅のそばまで足を延ばすかと思ったが、行ってもある保証がない。

 

問い合わせてから行こうとしたが、ハッと思った「うちで売っている半紙じゃダメか?」

家に持って行って「これに書け」と渡す。開けてみると確かに大きかった。

ばーちゃんが手本の用紙に合わせて切り取って使ってくれた。

 

字の間隔が狂わないように折り目で升目を作る。

字数が5文字と半端で降りにくかったが

最初に最後の一文字分の升目を作ってあとの4文字を均等割りにすれば

大丈夫だった。

 

なんかホームドラマを見てるみたいだったなと思った。