窓の下から妹が僕を呼ぶ声がした。
慌ててそっちに行こうとしたんだが、その時だった。
赤ちゃんを踏んづけた
大急ぎで病院へ
お医者さんがレントゲンを撮りながら僕にその時の様子を聞く
「体重を掛けましたか?」
足先でぐにゃっとした感触を感じてどうしましたか。
普通、それで体重は思ったほどかかっていないんですが」
「ハイ、慌てて飛びのきました」
レントゲンでは異常はなかった
あの時はひどく焦っていたから自信がなかった
足を降ろした瞬間ぐにゅっとしたものに触れて激しい鳴き声がしたので
うわっ!
と、飛びのいたのだ
僕がしたわが人生最悪の物忘れだ
幸いなんともなかった
しかし
僕は自分の物忘れがひどいこと不注意がひどいことを自覚しているから
赤ちゃんを床に寝かせるのは反対だったんだ。
女房のお義母さんが強硬に床に寝かせる事を主張していた。
子供を病院から連れ帰るとお義母さんがニコニコ大丈夫よと励ましに来た。
しかし、温厚な僕でさえ腸は煮えくり返っていた。
「お義母さん、もう僕は、僕のやり方で子供の面倒見ますから
子供の面倒を見に来ないでください」ときっぱり断った。
やっぱり、自分の記憶や注意力がどこまでのものか自覚して
物忘れの予防は大事だよね。
息子は幸いどこも悪くならず、ピアノやそろばんやパソコンのブラインドタッチ
上手くやってくれてるよ
パパは右手が少し不自由だけど、僕の不注意で同じ目に合わせたらと思うとゾッとした。
父親は車が止まると勝手に思い込んで僕に道を横断させ、その目の前ではねられて
僕をこんな体にしてくれた。
これでチビが身体障碍者になっていたら、本当にうちは呪われていると思うよ。