7月13日
どうも体調が悪くなってきたそうです。2~3日目からなんとなくその兆しは現れて来ていたそうですが、ここへきて本格的になってきたということです。冷涼な乾燥した大地の上でせわしなく呼吸をし、また長距離のバス移動で体力の消耗も激しかったからと言ったさしあたり思いつく理由についてはすでに幾度となくびりー君から聞いていますが、それに加えて連日続く量の多い食事も、びりー君の体に体力をつけるどころかそれと正反対の悪さをしていたそうです。
「ドウゾドウゾ、モットタベテタベテ」びりー君は量が多くてもう勘弁してくれと思っても、一緒に食べているルイスにいつのまにか全部食べさせられていました。これほど食べ続けたことはびりー君にとっていまだかつてない経験だったそうで体力のあるうちはなんとかついて行けたけれど、ちょっと体調を崩すと落ち込むのも早かったということです。
ルイスの家のトイレは夫婦の寝室の隣にあったそうです。そのため入るには寝室を横切る必要がありました。その寝室ではルイスがいつも新聞を読んでいたのでとても恥ずかしかったということでした。あちらの家の作りがそういう配置だったというわけでなく、ほかのトイレは建築途中だったということでした。
仕方ないから、恥ずかしいのをこらえて何度もそこに長時間お世話になったということです。
地球の歩き方にはペルーのトイレ事情が載っています。そこには、トイレに備え付けてあるかごに用を済ませた髪を捨てるべきことが書いてあります。下水設備が遅れているうえ、トイレットペーパーも水に溶けず、水流も弱いからだそうです。
びりー君は帰ってきてからこの文章に気が付いたそうです。これは南米の常識だそうです。「ルイスの家のトイレ詰まってなければいいが」と、びりー君は心配していました。
アエロペルーの手違いで、フリアカに置きっぱなしになったびりー君のトランクはその日の午後6時にタクナのアエロペルーのオフィスに来る事になっていました。そのせいでその日はどこへも移動できず、一日ルイスの家にいることになったそうです。
「体調が悪かったのでとても助かった」とびりー君は言っていました。
しかし、午後6時にアエロペルーのオフィスにトランクを撮りに行ったはいいが、なかなか到着しな買ったそうです。まあ、そうだよなあ。フリアカからアレキパまで来た時も、飛行機は帝国から7時間も遅れて出発したんだからとびりー君は感じたそうです。定刻に来ると期待する方が甘いんだろうなと。
7時に来るということになったのですが、7時になってもまだ来ません。結局トランクを取り戻したのは8時を過ぎてからだったそうです。
トランクを取り戻すまでの開いた時間に、びりー君はルイスとタクナのセントロを散歩したそうです。とあるレストランで、ルイスは自分の友達を見つけました。元スチュワーデスのきれいな人だそうです。最近仕事が無くなったということでした。彼女の勤めていたFaucett航空がアエロペルーに吸収されることになり、整理のために解雇されたのです。
ルイスは気の毒そうに彼女と話をしていました。しかし別れ際に目の前で交わされた抱擁には目のやり場がなかったそうです。そうやって彼女には新しいポストが近いうちにみつかるのかもしれません。