そして、頼んでおいたタクシーが、定刻にホテルの前に横づけされたが、彼女が出てきません。ルイスはまたしても彼女の事をクレイシーと罵り始めたそうです。ボリビア時間は、ペルー時間より1時間ほど早くなるのだということでした。


 ぐずぐずしてると戻りのバスに乗り遅れてしまいます。彼女のコチャバンバまでの予定がどんなものかは知りません。しかしびりー君たちはきっちりバスの時刻にバスターミナルに行かなければならなかったそうでした。


 タクシーは、バスの発着所に定刻に遅れて着いたそうです。ルイスは、しきりに「ムイ タルデ(大分遅れた)」と繰り返しているました。びりー君ははもう乗り過ごしてもしょうがないやと半分諦めました。


 ところが、ルイスの顔がパッと明るくなりました。バスがまだあったのです。彼女と別れ、大急ぎで乗車手続きをする窓口へ向かいました。しかし、もう長距離バスの窓口は閉められていたということです。そこでルイスは、近くにいたバス会社の人に「このバスに乗りたいんだけどどうしたらいいですか?」と聞いたそうです。


 バス会社のオジサンは「もう、窓口閉めちまったんだよ。しょうがねえな」というような感じで、「どこそこの道の脇で待っててくんな。バスを止めてやるから」とでも言ったのでしょう。それを聞いたルイスは、やっと安心した表情を取り戻したそうです。


 びりー君は、あたふたしたことで彼女のメールアドレスを聞きそこなったことが残念だったそうです。


 びりー君たちは、バスの通路の指定された地点に先回りをしてバスを待ちました。


 バスを待つ広い道の交差点でパンを買って食べました。パイ生地の中に甘辛く味付けしたカレー風味の具が入っておりとてもおいしかったそうです。「これは名前をトゥクマーナと言うんだ」と帰国後ネットで教えてくれた人がいたそうです。あまりの美味しさにもう一つ買うと一つおまけしてくれました。


ラパスは思ったよりも町がきれいで、その点ではリマより好印象だったといいます。尤も、ミラフローレス地区などと較べればそうとも言えないということですが。


そして、女の子もかわいい子が多かったとびりー君は言っていました。でも、よくよく考えてみると何曜日にその地を訪れたかが大きく関係してくるんだと思うとびりー君は気が付いたそうです。平日の昼間ならきれいな子は皆学校へ行っているか働いているかでしょう。未開の土地を旅するわけじゃないし。

 当時、近所に住むペルー人たちにこの話をすると、誰もがむきになって反論してきたそうで、ボリビアに対する対抗意識には日本人の想像できないものがあると感じたそうです。


 やがてやってきたバスに、びりー君たちは乗り込みました。すると、バスはもと来た道を今度は逆にたどり始めたそうです。