7月11日


 翌朝、目が覚めると、出発の8時まで、もう1時間しかない。目覚めたものの、だるそうに床に戻ろうとするルイスに「おい、彼女の部屋に行ってジャンパーを返してもらうんじゃないの?」とびりー君は慌てて聞いたそうです。彼は、手を振って椅子を指差しました。


 びりー君は、その指の差すところを見ました。すると、なんと彼のジャンパーが椅子の背もたれにかかっていました。びりー君が「どうしたの?」と尋ねると彼女が夜中の12時頃返しに来てくれたと言うことでした。


なんだ、普通なところもあるじゃん、と思っていたら、ルイスはまたも彼女はクレイシーだと言い始めたそうです。今度も「どうして?」と聞きました。すると、彼は「その時、自分の部屋に来ない?」と誘われたのだそうです。


 なんだ、そんなことがあったのか。ぐっすり寝ていて気が付かなかったな。


 「共同のシャワーは嫌だからここのを使わせてくれない?」と言うから使わせてあげたといいます。なんだ、それなら別にシャワー共同の部屋でも問題なかったわけだと、びりー君は思いました。


 びりー君はぐっすり寝ている間の出来事であとは何があったかはわからないそうです。びりー君が寝ている間に何かやったのかな?まあ、どうでもいいけど。僕にわからなけりゃいいんだと、びりー君はもうそのことについては考えないようにしたそうです。


でも、寝ているのがルイスでびりー君が起きていたらどうだったでしょう。金髪碧眼のすらっとしたナイスバディです。日本でしっかりその時のための用意までしてあったそうだから「断る理由はない」と言うことです。


 時間が迫り、忘れ物の確認のために部屋を見ていたら彼の歯ブラシと歯磨き粉を見つけました。ほーらよかっただろうと思っていたら、くしゃくしゃになった紙があったそうです。大事な何かだったら困ると確認するために開いたら、彼と彼女の昨夜の出来事に気が付いて急いで部屋を後にしたそうです。


 ホテルを出ようと彼女を待ちました。するとルイスが「ビリー、ボウシ!」と叫びました。アッと、びりー君はおろおろしました。そんなびりー君を尻目に、ルイスはさっさと部屋の中にはいり、びりー君の帽子を探し出してきてくれたそうです。


 せっかくこのとき救われた、高地の強烈な紫外線を避けるためにクスコで買った帽子ですが、「結局どこかで無くしちゃったよ」とびりー君は情けなさそうに言っていました。