猫の鈴の音がする。
猫は母親が「どうするの?箱にいれるの?」と聞いて来たから下に降りて箱に入れていたはずだ。
猫が箱から出ちゃったのか?
重しをしておいたのに。
これは不気味だなと思った。
小便をしながらそんなことを考えた。
少し怖くなって振り向いたら猫のクロヤが階段の所にいた。
やっぱり出てきてたんだと思いホッとした。
抱えて下に降りる。
箱を見ると重しにおいてあるピアノのキーボードを力ずくでずらして出た形跡が
あった。
覗いてみると中からうんこの匂いがする。
この匂いがたまらないから僕に掃除してくれとやってきたのかなと思った。
たしか、この前もそんなことがあった。
猫にそんな知恵があるだろうか。
しかし、すぐに掃除してやる。
そして2匹を捕まえ箱の中に入れて蓋をして重しのキーボードをのせる。
でも、母猫は巣の中が不衛生にならないよう赤ちゃん猫の排泄物を舐めてしま
う。
そのくらいのデリカシーがあってもおかしくないなと思った。
次の朝、もう自分たちで抜け出せる箱の中で猫はぐっすり寝ていた。