それからすぐにアエロペルーのオフィスに戻ったそうです。ルイスは奥の小部屋に入りました。あれ、確か女の子も一緒だったぞ?


フライトホステスの女の子としばらく入ったっきりで、びりー君は置き去りだったそうです。もう、どうにでもしてくれと言う感じだったそうです。でも、中で何をやってるんだろうと考えてしまいました。やがて警手がドアをどんどんと叩いたら彼が飛び出してきたのにはあきれたそうです。


 まったくと、びりー君は見ていると、警備員も慣れた感じでした。いつもどんどんされてるのかな?


 やがて、バスの時間が迫ると、クスコのバスターミナルへ、タクシーで行きました。乗車手続きや、トランクの積み込みなどの手続きもルイスがみんなやってくれたそうです。


バスに乗り込んでしばらくすると、さっきから、他の乗客とは明らかに違った身なりの少年がバスに乗り込んでいるのに、びりー君は気が付きました。彼もちょっと遠くまで帰るのかなあなどと思っているうちにバスが発車しました。


 すると、少年は、バスの中央に仁王立ちになり、ペルーの叙事詩のようなものを高らかに吟じ始めました。やがて、それは歌に変わりました。1曲歌い終わると心づけを出してくれというように、小さな板チョコを売ってあるきだしました。びりー君も2枚1ソルで買ってあげたという事です。


 バスの運転手も承知の上だったみたいだという事でした。。少年は、少し離れた所で運転手にバスを止めてもらい、ムーチャス グラシャスと言って、バスから降りて行ったそうです。


 高地であるからか、夜は寒かったそうです。もっとも日本のような厳しい寒さではなかったという事ですが。しかし、眠ろうにも眠れず、満月の明かりに照らし出された見慣れない光景を眺めていたそうです。月の光の明るさに、星の数はまばらだったそうです。


半分眠りながら夜明けを迎えたそうで、朝焼けがとてもきれいだったという事です。バスの窓から見えたオリオン座も、いつの間にか姿を消し、夜のくらい領域が朝の明るい領域に追いやられていました。


 夜明けはプーノ出迎えました。ルイスが半覚醒状態のびりー君を小突いて「ラーゴ ティティカカ(ティティカカ湖)と教えてくれたそうです。朝日に湖面がキラキラ輝いています。対岸が見え、あちらの建物が小さく見えているうちは、そんなに大きくないなあと感じたそうですが、そのうち水平線しか見えなくなりました。


空気が薄くて息は荒くなるのに、乾燥しているから、鼻の奥が痛くなったそうです。のどにピュッとやる薬は持ってきましたが、鼻から吸い込むなにかも持ってくるんだったと後悔したそうです。 

 そして前の年にアメリカラスベガスに行った時には出番のなかったウェットティッシュが、ここではかなり重宝したという事です。

 お国柄の違いでしょうか。