ダラスからリマまでの飛行機の中は、もう、日本語とは無縁の世界だったそうです。機内上映の映画は、スペイン語か英語だったそうですが、ここでも仮面の男が上映されていたから、もうどうでもよかったと言うことでした。




 真っ暗な闇夜の中を飛んでだんだんリマの街並みが見えてきたそうです。日本とはまるで違いわびしい印象でびりー君にはこれが首都の空港なの?という感じでした。




 リマのホルヘチャベス空港に着きました。とりあえずは、友達のルイスに会えるかどうかがびりー君には心配でした。機内で必要事項に書き込みを済ませて置いたら、入国審査は実にあっさり済んだといいます。




 朝の4時過ぎでまだ早いというのに、空港玄関には、一つ通りを隔ててタクシーの呼び込みが大勢いたそうです。通りの向こう側にはロープが一本渡してあり、タクシー関係者は、どうやら、それを超えてこられないようになっているらしかったと言うことです。




 ここの呼び込みの凄まじさは有名らしいのでどうなることかと心配していたが、ロープで止まっていてくれて一息つけたという感じがしたそうです。日本の出稼ぎペルー人の友達でさえ、あそこのタクシーの呼び込みには注意しろと忠告してくれていました。




ルイスとの再会




この大勢の中からルイスを探し出すのか?本当に彼は来ているだろうか?とても心配でびりー君はたまらなかったそうです。


 しかしびりー君が見つけるより先にルイスがびりー君を見つけてくれたそうです。ルイスはもう一人連れてきていました。ルイスの従兄で名をホワンと紹介してくれたそうです。




 ルイスはチリとの国境の都市タクナに住んでいました。リマにも親戚がいて、最初の数日間はそこを拠点にさせてもらうことにしていたそうです。






 リマの空港近辺の景色は、朝早く暗かったから最初びりー君にはよくわからなかったそうです。しかし貧相で、本当に何もなかったということです。交通手段はタクシーで、タクシーを拾ってルイスの親戚の家に行くときに見たリマの街並みは、来たのが間違いだったかなと後悔するほど薄汚れたものだったと言います。家という家が、満足な色形をしていなくて日本のように、完成という最後の一線ではみな共通しているというお約束が、どの家にも備わっていないと感じたそうです。


 


レンガを積み重ね、その上何とかに壁を塗ってペンキで体裁を整えて、これで家でしょ?と問いかけて来る感じでした。そしてどの家も、まだまだこれから伸びますよと言うように柱の鉄筋が点に向かって伸びていたそうです。びりー君は暗かったからそう見えたのかもしれないと思ったのですが、あくる朝も残念なことに印象は変わらなかったということです。