旅の支度
びりー君は、その年初めて任された田植えも終わり、少し心に余裕ができたそうで、かねてからの念願だったペルー旅行に行くための手筈を整えなきゃいけないと心を決めました。
6月25日(木)
HISに航空券の手配を申し込みに行ったそうです。ペルーへ一人旅なんて旅慣れた人や仕事で仕方のない人じゃないと行かないんじゃないかなんて思いました。
そうはいうものの、行くと言ってしまった手前その約束を反故にしたくはなかったので、しょうがないなと、びりー君は覚悟を決めたそうです。日本に出稼ぎに来ていたペルー人がペルーを案内してくれるって言ってるんだから、ペルーに行ってもまったく一人と言うわけじゃないでしょう。
しかし、やはり治安の事とか衛生の事とか心配の種は尽きなかったといいます。
おりしもアマゾン川の上流で川下りをしていた日本の私立大学の学生が、現地にいた下級兵士に金品目的出殺害されるという事件も起きたそうで、びりー君も、そこの大学出身だったので、たいそう不安になったといいます。
「とにかく、行って帰って来るだけだ。これが終わらなきゃ次の予定もたたない」と後から考えるととても大げさな決意をしてオフィスに入りました。
前年に旅行をしたときに航空券を手配してくれた人がまた担当してくれたそうで、代金は航空券のとれる明日でよいということでした。
6月26日(金)
申し込んだ翌日、航空券が取れました。HISのオフィスで航空券の引換券をもらったそうです。代金は18万2000円だったそうです。
近くのラオックスで機内落ち込み可のオレンジ色のトランクを買って帰りました。どこをどう旅するかわからないので荷物は小振りの方がよいだろうと思ったそうです。それでも結局機内には持ち込まなかったそうですが。
色をオレンジにしたのは、そんな色のトランクを持ち歩く人間は少ないだろうと思ったのだそうです。少しでもトラブルの発生する確率を小さくしたかったといいます。成田空港でそれと全く同じトランクを1度だけ見かけたが、あとは思った通りそのような色のトランクは旅行の間中見かけなかったそうです。