「待てやーーーーーービックリマーク

親父が傘を振り回しながら追いかけてくる。
本気でヤる気だ。

親父は頭はハゲているが、北真一刀流の使い手だ。
一発でも食らえば、そく御陀仏だろう。

それでもし俺が死んだとしても、息子を自らの手で殺したとは気付かずに終わるんだろうな…。

親父を子殺しにしないためにも、俺はなんとしても逃げ切らなければならなかった。



廊下を走り、階段を上がり、俺は自分の部屋を目指した。

「愚か者めビックリマーク二階は行き止まりだビックリマーク
観念するがいいビックリマーク
親父も勢いこんで二階へと駆け上がる。

俺は部屋に着くと同時に鍵をかけ、中に立てこもった。



ドンドンドン!!
「おい泥棒ビックリマークもう逃げられんぞビックリマーク
おとなしく鍵を開けてでてこいビックリマーク

シーーーン………。

泥棒め、籠城するつもりだな?
そうはさせんぞ…。

「母さん、あれをビックリマーク
「はいビックリマーク
母さんはそう返事をすると、合い鍵を差し出した。

カチャカチャ、カチャン。

キィ………



「どりゃーーーーーーービックリマーク
開口一番、部屋に入るやいなや、親父の北真一刀流が火を噴いた。

《ブゥン!!
「俺と、付き合ってください」



言った。

俺は言った。



あとは待つことしかできなかった。

あゆみちゃんの言葉を………。








「ありがとう」
あゆみちゃんは言った。
「そう言ってもらえて、すごく嬉しい。

でも「キャーーーーーーーーーーーービックリマークビックリマークビックリマーク

そんなあゆみちゃんの答えを、突然の金切り声が断ち切った。

「ドロボーーーーーーーーーーーーービックリマークビックリマークビックリマーク

それは電話の向こう側から聞こえてくる声じゃない。
俺の耳に直接届いてくる、生の声だった。



『はっビックリマーク
その瞬間、俺は我に返った。

そうだビックリマークすっかり忘れてたビックリマーク
俺の身に起こっていたことをビックリマーク



玄関にいた母さんはすかさず携帯を取り出し、どこかへ電話している。
確実に警察へ通報しているんだろう。

親父は玄関にある傘を手にとり、完全に戦闘モードだ。

「お父さんビックリマークオレだよオレビックリマークカナンだよビックリマーク
こんななっちゃってるけどカナンなんだよビックリマーク
「やかましいビックリマーク
その見てくれで【オレオレ詐欺】されて騙されるほど、吾輩は愚かではないわビックリマーク

ダメだビックリマーク状況が悪すぎるビックリマーク
これじゃとても信じてもらえそうにないビックリマーク



「どうしたの!?カナンくんビックリマーク
何かあったの!?
電話の向こう口では、あゆみちゃんが必死に叫んでいる。

「あゆみちゃんビックリマークごめんビックリマーク
また今度電話するねビックリマーク
カチャン…



「待ていビックリマーク

とにかく逃げないとビックリマーク
警察に捕まるのだけは避けないとビックリマーク

俺は家の中へと逃げこんだ。
そうだ。

そうだったんだよ。

俺は遊園地へ告白しに行ったんだよ。



なんか今日一日あまりに色々起こりすぎて、当初の目的がなんだったのかすっかり抜けちゃってたけど、そうだったんだよ。

俺はあゆみちゃんへ、告白しに行ってたんだよ。

俺は今、すべてを思い出すことができた。
だけど、だからといってどうすればいいのか分かったわけでもなく、電話の返答をできずにいた。



どうすればいい?

どうすればいいんだ?

今、告白するべきなのか?

だけど電話で告白したら、今までの段取りは何だったんだって感じだし…。
でもこのまま言わないでいるのも、あゆみちゃん気になるだろうし…。

い…いったい、どーしたら………汗汗汗汗汗



どっかの歌じゃないけど、こういう時ほんと思う。
なんで学校はそういうこと授業で教えてくれないんだってビックリマーク



しかしそんなに悩む必要もなく、あゆみちゃんが間もなく言葉を続けた。

「あ、電話で言いづらいことだったら言わなくていいからね?
ちょっと気になっただけだから。

また話したくなったら言ってくれればいいから晴れ
まごまごしてハッキリしない俺を、あゆみちゃんは電話ごしに明るくフォローしてくれた。
そんな気遣いに、俺はまた胸がキュンとする。



あゆみちゃんの優しさにこたえなければ…!

俺は意を決した。
「あの…実はさ?話したかったことって言うのはさ………。
俺、実はさ、ずっと前からなんだけどね?
俺、ずっとさ、ずっと前からなんだけどさ?

俺~、実は~前から~…なんだけど~…………」

つ…次の言葉が出てこない…!
『好き』という言葉が…!汗

心の中では何回も連呼しているのに、声となって出てこない。
俺はもはや、フグみたいに口をパクパクさせているだけだった。



「ん?」

『あ………!』ビリリ…!
あゆみちゃんの声にもならない声が、俺の脳裏に電気のような刺激を走らせた。
それが、俺の全神経を麻痺させた。

「あゆみちゃん…。
あゆみちゃんに、聞いてもらいたいことがあるんだ」

言える。
今の俺なら、このまま言ってしまえる。

言ってしまえ………!

「俺、ずっと前からあゆみちゃんのこと………、

ずっと、好きでした」