駅でおっさん二人が喧嘩をしている。

両脇を仲裁に入った駅員に抱えられながら、それでも二人は息巻く。

「ふざけとんちゃうぞワレコラ!」

片方はホームに響き渡るようなだみ声関西弁である。
日常の恐怖が脳裏をよぎるのでほんとやめてもらいたい。

「おっさん、ナメてるとマジでキレるぞ!」

一方こっちはなんか甲高い声だ。てか相手のことおっさん呼ばわりしてるけどこの人も十分おっさんである。



関西弁のおっさんはガタイのよい四十過ぎの男で、スーツ姿に角刈り頭。怒らせたらいかにもめんどくさそうな感じである。

他方、甲高い若者口調のおっさんは、三十後半だろうか。体型は小肥り、中分けの満利ヘアーで、Gジャンとジーパンに身を包んでいる。

まあなんか、Gジャンジーパン小肥り中分けのうえに「マジでキレるぞ」とか言ってるところを見た限りでは、きっとこのおっさんは永遠の中学生なんだなという感じがして、風格において角刈りに大きくおくれをとっているように思われる。

てかやりあったら絶対角刈り勝つと思う。



…いや、まあそれはともかく、はっきり言ってほんとどっちも邪魔です。

これ最終電車だからね。
おまえらのせいで電車止まってるからね。

これで家帰れなかったら、今晩夢の中でおまえらにものっすごい汚い言葉を浴びせながらうんこ食べさせるからね。


それにしてもいつも思うんだけど、こういう人たちって仲裁を振り切ろうとするそぶりは見せるけど実際には振り切ってまで闘わないよね。

きっと心のどこかで制止されてることに安心してるんだと思う。

甘えんな。
さっさと決着つけろ。こっちは終電が終わりそうなんだよ。

明日5時半に家出なきゃいけないんだよ。ふざけんな。





…。





帰ってきました。

さっき会社から電話があった。在庫データがどうかなってるとかなんとか。

詳細よくわからんが、なんか明日はトラブルの予感がする。きっと朝から怒られたりカオスだったりいろいろするんだろうな。あーあ。



ま、それはそうともう寝よ。
早く寝ておっさんどもにうんこ食べさせなきゃね!