5月1日の前夜を、ワルプルギスの夜という。
それは、ドイツのブロッケン山に魔女達が集まり、酒池肉林の宴を繰り広げるとされる夜である。

まあ、僕はゆくゆくは魔法使いになることが約束された将来有望な男だから、そのうちにワルプルギスの夜の宴にゲストとしてお呼ばれして、小悪魔的な美魔女のねーちゃんたちからキャーキャー言われることになると思うので、取り立ててワルプルギスの夜なんて意識してないけど、そんな宴になんか一生参加させてもらえないであろうマグルの諸君にも一応教えてあげようと思ったので、今日はワルプルギスの夜のことを書くことにしたわけなのだ。

僕はハリーポッターとかと違って色んな人からちやほやされて色んな女の子とクチャクチャするなどという魔法使いにあるまじき蛮行には目もくれずに、この二十一年間ひたすら辛い禁欲の苦行を続けてきたので、あと十年もすればハリーなんかよりすんごい強い魔力の魔法使いになれる。

高校生とかの分際でクッチャクッチャしまくって魔力のかけらもないマグルたちとはんもうそれはもううんこと富士山ほどの違いがあると言わねばならないのだ。

だから、そしたら、ハリーとかダンブルドアとかより先にウ゛ォルデモート卿をさっさと倒して、僕は魔法界のスーパースターになるのだ。

そしたら、ワルプルギスの夜には、僕は魔法界を救った英雄として宴に呼ばれて、ハーマイオニーとかキキとかサリーちゃんとかから、「ユンディスト様がいらっしゃったわ!キャーキャー」「見て見て!名前を言ってはいけないあの弓手師様よ!キャーキャー」「狼様!私と踊って下さらない?キャーキャー」「何言ってるの!弓手師様と踊るのは私よ!キャーキャー」「あなたそのローブ素敵ね、キャーキャー」「でしょ?高かったのよ、キャーキャー」「ウチの亭主ったら、最近すっかりメタボでもうやんなっちゃうわ、キャーキャー」「あらやだ、キャーキャー」「キャーキャー」「キャー」「キャーキャーキャー」「キャー」といった具合の歓迎を受けるのだ。


だがその時、僕は群がってくる魔女たちの向こうの窓辺で、独り哀しそうに月を眺める美しい魔女を見つける。
そして、その哀しい瞳に惹かれて、彼女に歩み寄る。



弓手師「月を見ていらっしゃるのですか?」

美魔女「…あ、弓手師様。はい、今夜はとても綺麗な満月なので。」

弓手師「他の魔女の皆さんとは、お話をされないんですか?」

美魔女「…ええ。私なんて、皆様とお話する資格もありませんから。弓手師様も、私などに関わらないほうがよろしいですわ。私は、人を不幸にする魔女なの。どうぞ、私には構わず、パーティーを楽しんでいらっしゃって下さい。」

そう言って彼女は、寂しげに微笑む。
僕はそのとき、彼女のその透き通るような美しさとは裏腹の、哀しみに深く沈んだ瞳の色に、言い知れぬ魅力を感じたのであった。



他の魔女達からそれとなく事情を聞くと、彼女は名をまさよといい、まだ25歳の若い魔女で、元々はとても明るく、人懐こい女性であったという。





容姿端麗にして聡明、そして明るく、優しい魔女だった彼女は、いつもみんなの人気者で、憧れの的であった。

そんな彼女が独り家に閉じこもり、人を寄せ付けないようになったのは、彼女が二十歳になった頃から立て続けに起こった不幸の所為だ。

彼女の両親やボーイフレンド、親友など、彼女にきわめて親しい間柄の人々が、次々と謎の死を遂げていったのである。
そしてそれは、彼女がついに独りぼっちになるまで、一年余りも続いたのであった。

「あの魔女と関わると死が訪れる」という噂が魔法界に囁かれ始めるのに、それほど時間はかからなかった。

すると、それまで彼女の周りにいた人達は皆、それまでが嘘のように彼女を避けるようになった。

そうして、いつしか彼女自身もまた、誰かと一緒にいたいとは考えなくなっていった。
一年余りにわたって自分の親しい人達の事故死や病死、自殺が立て続けに起こったことで、彼女は、本当に自分は不幸を招く魔女なのだと信じるようになった。そしてまた、これ以上自分の愛する人達の死に出会うのには堪えられないし、そうなるくらいなら、これから自分は誰を愛することも、愛されることもなくていいと、そう思ったのだ。



その話を聞いた僕は、彼女のこれまでの五年間をおもい、暗然となった。

きっとそれは、途方もない絶望の日々であったにちがいない。
愛する人達が次々にいなくなってゆく中で、彼女はどれだけの悲嘆を味わったのだろうか。
苦しくて、悲しくて、つらいのに、誰も自分を助けてくれない、優しい言葉の一つもかけてはくれない。それどころか、彼女に向けられたのは、恐怖と好奇の眼差しのみなのだ。
それは、真っ暗な海の底に独りぼっちでいるような、どうしようもなく孤独な日々であったろう。

彼女は、誰も拭ってはくれない涙を、この五年間に一体どれだけ流したのだろうか。
街の魔女たちのひそひそばなしに、不良中学生たちの心ない中傷に、幼子が彼女を指差して発する悪気のない一言に、彼女の美しい口元は、一体何度鳴咽に歪んだことだろうか。



そう思ったとき、僕はいてもたってもいられなくなった。







弓手師「まさよさん!!僕と一緒に、この街を出ましょう!今すぐに。」

まさよ「…え?何をおっしゃっているんですか?」

弓手師「プロポーズをしているのです。僕と一緒にこの街を出て、しばらくの間、旅をしましょう。あなたはもっと、楽しいことを知らなくちゃいけない。あなたはもっと、幸せになるべき人だ。」

まさよ「……できません。私と一緒にいたりしたら、貴方まで不幸になってしまう。私のせいで、貴方が死んでしまったら、私…私…。」

弓手師「そんなことは、どうでもいいんです!」


僕は、まさよの細い手を引いて、広間を出口に向かって駆け出した。


他の魔女達のざわめきも、僕を引き止めようとする声も、何も、耳に入らなかった。



僕とまさよは、夜のブロッケン山を飛び出した。













このあと、まさよが次第に心を開いていったり、まさよの事件は実はハリーとハーマイオニーの二人が仕組んだことだったということがわかったり、それで僕がハリーとかをこてんぱんに懲らしめたり、まさよとくちゃくちゃしたりと、いろんなことがあるわけですが、ここには書ききれないので割愛させて頂くことにします。


まあいずれにせよ、結果的に僕とまさよは幸せに暮らします。
















……。



















えー、はい、というわけで、病んでます。
すたどんに六人とかの団体で来ちゃう奴らとか、うんこまみれになればいいと思います。


あ~、早く魔法使いになりたいな~。