パヴァロッティ・・・・

しばらく見ないうちにいつの間にかそんなに大きくなって・・・。

頭にいかがわしい突起物までつけて・・・。その上その突起物にはなんか出てきそうな穴が開いてるし・・・。

この間までのかわいいパヴァロッティが嘘のようにわいせつな感じになったね・・・。

でも、お母さんうれしいよ。頭が良くなくたっていい。わんぱくだっていい。気持ち悪くたっていい。わいせつなものが頭に生えてたっていい。アンタが無事に大きくなってくれるだけで、お母さんはうれしいんだよ。


え・・・?・・・・なんだって・・・?


・・・・ほ、ほんとのお母さんじゃないからなんだっていうんだい!!!

そうさね、たしかにアタシはアンタのほんとの親じゃないさ、里親さ!だけど、アンタのことを一番大事に思ってるんだよ・・・!


今までアタシは、女手一つで誰の手も借りずにお前を育ててきたんだ!

時には汚い仕事もしたさ!好きでもない金持ちに抱かれもしたさ!!それもこれも、みんなアンタのためじゃないか!!わかってるのかい!!?

それなのに・・・それなのにあんまりじゃないか!!


ほんとの母親?ほんとの母親がそんなに恋しいかい!!あんたを捨てたあの女がそんなに恋しいのかい!!?この・・・・この恩知らず!!



・・・・・・・・・・・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もういいよ。


どこへでもいっちまいな。アンタがいなくなれば、少しは生活も楽になるし、意味不明の言葉を話すうるさいガキがいなくなって、むしろせいせいするよ!!お行きよ。ほんとうのお母さんのとこへさ!消えな!アタシの前から消えとくれ!!



・・・・・・・。



・・・・・・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・パヴァロッティ・・・?

・・・まさか、ほんとにいっちまったのかい?アタシをおいて、ほんとに・・・。

そ、そんな・・・アンタなしで、アタシはこれからどうやって生きていけばいいのさ・・・何を生き甲斐に生きていけばいいのさ・・・


パヴァロッティ!嘘だよね・・・!出てきておくれ!嘘だと言っておくれよ!

パヴァロッティ!パヴァロッティーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!





パヴァロッティは出て行った。

彼女の、まさよの愛が、幼いパヴァロッティにとっては重すぎたのだ。

パヴァロッティだって分かっている。本当に自分を愛してくれているのは、里親の、まさよだけだということを。

でも、わかっていても本当の母親にひと目会ってみたい、そうパヴァロッティは思ったのだ。そして同時に、まさよと、少し距離を置いてみたいとも考えたのだ。

そうすることで、まさよが自分にとってどんな存在なのかが、しっかりとした輪郭を持って見えてくるような気がしたから。今まではそばにいすぎて、ぼんやりとしか見えていなかった彼女の愛を、きっとしっかりと見据えることが出来るだろうと思ったから。


この、不恰好な母子の愛と絆に、もっと信頼を持てるように。もっと希望を持てるように。