10.2続　台北

迫真のプレゼン

翌朝8時に起きて、ラウンジでコーヒーとクッキーの朝食、9時前にはホテルをチェックアウトして、関係会社に行ったら、私の話はデモもやってくれ、とのこと。ソウルの時と違って、回線経由の必要はなく、手元のPCで出来る範囲でよい、ということだけど、急だよねえ。

9時半、お客様の所に行き、デモの準備をした。プレゼンはキーワードさえ忘れなければ、なんとかなるだろう。2人目の質疑が途中で打ち切りになっているので、少し時間稼ぎしてもらって、その間に多少おさらいできることを期待、とりあえずセミナ開始までにデモの準備はできた。

10時にセミナが始まり、昨日の質疑の続きで2人目の人が5分ほど答弁して、昨日の宿題は終わってしまった。ありゃ～、困っちゃったよ、おさらいする暇もない。ちょっと焦ったが、丹田に力を込めて、それから1時間半、用意したフィルムを投影台に乗せながら、キーワードを思い出し、英語の言い回しが思いつかないときは、ここで言いたいのは～～です、とキーワードだけ先に喋ってしまう。自分の責任外の話も多いので、キーワード以外のことばを下手に喋っておかしくなるより、ボツボツでいいから、余分なことは言わない。でもキーワードは、はっきり言おう。そうやっているうちにだんだん調子に乗ってきて、つなぎのことばが出るようになってきた。

最初のうちは、昨日のように途中で質問が出て横道にそれたら嫌だなあ、と思っていたが、お客様はちゃんとこっちを向いて聴いているけど、だれも割り込んでこないので、かえって淋しくなってきた。フィルムは数十枚もあるので、淡々と喋るに越したことはないが、そのうちにフィルムを置き換える度に、お客様の顔を見回して、大丈夫？分かった？という目配せをするようになった。ずっと下向いてしゃべるより、聴衆を見ながら喋る方がかっこいいですからね。我ながら、だんだんふてぶてしい喋り方になっていくのが分かった。

途中で1回だけ、フィルムを置き換えようとしたら、お客様の一人が手を挙げて、「もう一回説明してくれ」と言われた。それで元のフィルムに戻して、同じ説明をゆっくり繰り返したが、このフィルムは昨日も1人目の講演の中で見せたもので、そのときに既に詳しく説明しているので、それ以上突っ込まれなかった。その後、多少の質問もあったが、確認だけで横道にそれることもなかった。

なんとも拍子抜けだったが、私が、これで終わり、と言うと、お客様の中で昨日一番うるさかった人が、なんと拍手してくれた。よく分かったよ、質問はないよ、という合図だったのかしら？つられてほかのお客様もパラパラと拍手してくれて、ぜんぜん騒がしくない拍手なんだけど、少し淋しかったのが、一気に嬉しくなってしまった。

11時半にお昼休憩で、昨日とまったく同じ弁当だった。12時から、まだ弁当食べてる人もいたが、デモを行なった。1時間弱、お客様は興味津々という様子で、交替でPCを覗き込んで熱心に観てくれて、何度も同じことを繰り返したけど、まずまず良かった。

お寺の屋根の龍

帰国便を夕方に変更したおかげで、待望の紫禁城の財宝を見に行く時間ができた。他の日本人出張者は興味ないようだ、北京の空っぽの紫禁城を見てないから、ここに中身の財宝がある、と言われても、ピンとこないんでしょう。でも、今回Mr.Tの会社から一人だけ参加したDr.Mが、故宮博物院にも興味津々で、結局2人で行くことにした。ずっとセミナの面倒みてくれた、関係会社の女性技術者が、付き合ってくれると言う。

13時に、荷物持って、関係会社の人の車で送ってもらった。故宮博物院は、市街の北の山の向こう側にあり、ややこしい間道を通っていったような、、、とある角を曲がったとき、突然、屋根に龍の飾りがたくさん乗ったお寺のような建物に遭遇、鉄工所みたいな建物で、周辺の景観に不釣り合いな屋根に驚いた。龍山寺の屋根より凄いや、写真を撮りたかったな、と通過してしまった後で悔やまれた。が、実は2年後の出張時に同じ道を通り、その時は車を停めてもらって、写真を撮ることができました。龍山寺のような著名なお寺でなくても、どこもこんな龍の細工が屋根に乗っかってるんですね。面白い。

　お寺の屋根の龍(2000年撮影)

故宮博物院

13時半に故宮博物院に着いた。事前に少し勉強して、一番の財宝は「翠玉白菜」という翡翠の置物だというので、とりあえず見た。清代のお姫様の嫁入り道具だとか、20cmくらいで実物の白菜と同じくらいの大きさだったが、白い部分と緑の部分は色付けしたわけではなく、翡翠のそのままの色で、おまけにちょこんとキリギリスがくっついているが、これも濃い緑色の部分をそのまま彫りあげてあって、これは凄い、実にリアルだ。尤も、感心はしたけど、何か感性に訴えるものがあったか？と問われると、ふ～ん、凄いねえ、で終わってしまったかな。

宝玉の装飾品は山とあるのに、なんで白菜が一番なの？装飾品だけでなく、日常の様々な用具、器、彫刻など、書画もあったと思うが、もの凄い数で、整然とガラスケースの中に並んでいた。想像以上の財宝だ。紫禁城の棚や机に置かれていたら、さぞかし壮観だろうなあ、、、この時正面階段の前で撮った写真には、蒋介石と思われる銅像があるのだが、現在はないようだ。

今回は、飛行機の時間の都合もあるので1時間くらいで切り上げたが、たぶん半分も見てない。まあ全部見たとしても頭に入るわけではないが、また来る機会があるといいなあ、、、と心残りだったけど、2年後にも再訪します。

　故宮博物院前で

　故宮博物院入場券

海外出張物語(51)