志村動物園をみていました。
涙なしにみれませんでした。


愛犬との奇跡がテーマだったのかな。


私にも忘れられない犬がいます。


私が幼稚園ぐらいのときでした。
突然我が家にやってきたのは雑種の女の子。

両親が異常に犬をこわがる兄を強くしようとどこからかもらってきたのだったと記憶しています。

もともと動物が大好きだった私はうれしくてうれしくてたまりませんでした。

兄も自分のペットとなるとこわくないようで、二人で名前を考えました。

「メリー」

それがその子の名前になりました。

子供だった私たちにとって一番楽しかったのはクリスマス。
メリークリスマスの「メリー」です。

シェパードの血をひくというメリーは中型犬サイズになると言われていたので、庭に犬小屋を置く予定でした。
でも、生後2か月ということもあり、しばらくは家の中で飼うことに。
私はこっそり自分のベッドに連れていってよく怒られていました。
(ホントは環境が変わったばかりの時は構いすぎてはいけないんですよね(´・ω・`))


メリーはすごく頭のいい子でした。子供が大好きでした。
教えてもいないのに、人を見分けて無駄吠えなどしない子でした。


ところが

ある日

近所に住むおばさんがうちにやってきました。

「お宅の犬の鳴き声が主人のかんにさわって眠れないと言っているんです」



うちの近所はいまもそうですが、野犬の多い場所です。
そして犬小屋を置いているのはその夫婦の家とは反対側で、住んでいる私たちは夜中にメリーの鳴き声なんて聞いたこともありません。
あれは別の犬が吠えていたのだと今でも思っています。


「処分しないのなら、騒音ということで訴えることもできますが?」


一戸建ての持家、何年も住んでいるその家から私たちが引っ越すことなどできません。
両親がその日から毎晩、どうするかを話あっていました。
兄と私は、不安を抱えながら遠くで見ているしかできませんでした。

両親がだした結果は…



ドッグバンクにメリーを引き渡すというものでした。

ドッグバンクというのは、飼えなくなった犬の里親を一定期間探してくれるというものです。

そう…一定期間


ドッグバンクのトラックが来た日のことは今でも鮮明に覚えています。
他にも何組かの家族が来ていました。

エサやおもちゃで犬をさそってゲージに入れていくのですが、メリーはどうしてもトラックに乗ろうとしませんでした。


こまった係りの人が、兄にトラック上のゲージに上がるように頼みました。

大人では大きすぎてゲージに入れない。
私では幼すぎる、ということで兄になったのでしょう。


最初は断固拒否していた兄も両親に促されて泣く泣くゲージに上りました。
ゲージの中で一言だけ「メリー」と声をかけました。

兄の姿をみて安心したのか、メリーはゆっくりとゲージに入っていきました。

「はい!でて!」

係りの人に引っ張られるようにゲージから兄がでた瞬間、カチャン、と扉が閉められ、カギがかけられました。

普段ほとんど吠えることのなかったメリーが、大きな声でゲージの外の兄を何度も呼んでいました。

私は、ただ…泣いていることしかできなかった。
その後、どうやって家に帰ったのか…その記憶はありません。


その時はメリーは他の人にもらわれるんだよ、という両親の言葉を信じていました。
ですが、成長するにつれ、わかってしまいました。
「一定期間」の過ぎた犬たちがどうなるのか…

子犬でも見つかりにくい里親。
メリーは成犬の雑種です…


メリーを守るには、私はあまりにも幼い子供でした。


動物が大好きな私が犬を飼えずにいる理由の一つが彼女です。
私にとって、ペットと呼べる犬は今でもメリーだけだから。




もう一つ、忘れられないことがあります。

メリーとお別れをした数か月後、うちに来たあの夫婦が犬を飼い始めたと聞きました。
よく吠える小型犬でした。

もちろん、犬に罪はありません。
ですが…子供だった私が誰かに対してあきらかな「憎悪」を感じたときでした。

ところが、また後日、その家のおじさんが庭木の手入れ中に梯子から落ちて仕事ができなくなり、夫婦はいつの間にかどこかに引っ越して行きました。


兄も私も、罰が当たったのだと思いました。
人の不幸を喜ぶわけではありませんが…あの夫婦が引っ越すのがもう少しだけはやかったら、私はメリーと別れなくてもよかったのではないかと思ってしまうのです。



動物は、本当に純粋な心で飼い主のことを想ってくれます。
心を開けば必ず心を開いてくれます。


犬だから、猫だからと、その命を小さなものだと思わないで。



いつか…
私が天寿を全うしたとき、あちらの世界でメリーに会うことができるでしょうか。
メリーは私を許してくれるでしょうか。

今は、もう一度あの柔らかくて暖かいメリーを抱きしめたい。