Girls戦士は憧れの友達。「恋するカモ - mirage² ver. -」歌詞を勝手に解釈 | ワンワンわを〜ん

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はじめに

毎週日曜朝9時放送のテレビ東京系特撮ドラマ『ひみつ×戦士 ファントミラージュ』第2弾オープニングテーマ曲「恋するカモ - mirage² ver. -」の歌詞に衝撃を受けたので、勝手に解釈してみたい。

 

「恋するカモ」は、9人組ガールズパフォーマンスグループ・Girls²(ガールズガールズ)の楽曲。Girls²メンバーのうち4人が『ファントミラージュ』の主人公チームを演じており、mirage²(ミラージュミラージュ)のユニット名でオープニングを歌っている。

 

筆者は当初、「恋するカモ」というタイトルから、「ただの友達だと思ってたけどアプローチされて徐々に好きになり始めているカモしれない」というラブソングなのかと漠然と思い込んでいたが、歌詞をよく読むと、それが全く的外れだとわかった。実際は、そんな甘っちょろいストーリーではなく、番組を見る子供たち、ヒーロー/ヒロインに憧れる子供たちへ向けた、真摯なメッセージソングだった。

1分30秒の曲を3つのパートに分けて勝手に解釈する。

 

 

恋するカモ

作詞:ペンギンス・sorato・伽羅奢

作曲:ペンギンス・sorato・伽羅奢

 

【目次】

  • イントロ ─── 君を呼ぶ声
  • Aメロ〜Bメロ ─ 半歩先の英雄
  • サビ ───── 恋は夢

 

 

●イントロ ─── 君を呼ぶ声

 

カモカモ ComeOn !

カモカモ ComeOn !

 

はじめに聞こえてくるのは、「カモカモカモン」というハミングのような声だ。まるで、霧の中迷子になった子供を導いてくれるように聞こえる。歌詞カードの表記も「come on」となっており、歌い手が聴き手に「来て」と呼びかけていることがわかる。

 

『ファントミラージュ』という番組において、「恋するカモ」を歌っているのは主人公チームである4人のGirls戦士だ。そして、聴き手は視聴者ということになる。つまり、この曲は番組の主人公たちが視聴者に呼びかける構造になっている。この構造=番組の主人公チームと視聴者の「関係性」こそが楽曲のテーマと深く結びついている。

 

 

 

Aメロ〜Bメロ ─ 半歩先の英雄

 

《Aメロ》

物語のはじまりはいつだって

1%の未来を信じることから

 

ハミングから激しいダンスを見せつけるインストパートを経て、歌詞は「物語」というワードから始まる。半ば客観的な言い方で、物語の始め方、望む未来を実現するための方法を語っている。その確率が信じられないほど低かったとしても、「信じる」ことこそ必要なのだと説いているAメロだ。

 

《Bメロ》

でも君となら

飛び込んでみたいかも?

上手くいくかも?そんな気がする

だから

ついておいでよ

 

一転して登場する「でも」では、「とは言え、信じるだけでは実現しないのではないか」と、少し弱気なところを見せている。信じることは必要だが、それだけで何でも叶うわけではないと、冷静に現実を見る視点も持っている。

しかし、「君」となら実現できるかもしれない。この「君」こそ、聞き手のことを指している。歌い手=Girls戦士は、聞き手=視聴者に、「ついておいで」と呼びかけている。イントロでハミングのように呼びかけてきた声の正体が、Girls戦士だったことが明らかになる瞬間だ。

 

「私はできる」でも「君ならできる」でもなく、君と私が一緒なら上手くいく「かも」と誘う。2回重ねられる「かも」に加え「そんな気がする」という表現で、無謀な挑戦であることへの自覚を見せつつも、歌い手は聴き手に手を差し伸べる。Girls戦士は視聴者の横に並ぶのではなく、ましてや背中を押すのでもなく、半歩先から引っ張ってくれる、頼もしさと優しさを兼ね備えた存在であることを示している。

 

これから始まる物語は、Girls戦士だけのものではなく、Girls戦士と視聴者、両者のものだ。Aメロ〜Bメロを通じて浮かび上がってくるのは、『ファントミラージュ』の物語が、視聴者の存在なしでは達成できないということである。

 

 

サビ ───── 恋は夢

 

《サビ1》

カモカモ ComeOn ! 恋しちゃうかも?

カモカモ ComeOn ! 空飛べるかも?

新しいストーリー作れるよ

シナリオはハッピー

 

イントロから繰り返されてきたフレーズがサビとなる。だが、ここで注目すべきは、その後に続く「恋しちゃうかも?」と「空飛べるかも?」の並列だ。「空を飛ぶ」は、一般的に「できないこと」の象徴であり、様々な能力を発揮するGirls戦士であっても(今のところ)不可能だ。翻って「恋」は、その対極の、当たり前のことのように思える。

しかし、そのふたつが並列に扱われるということは、恋も空を飛ぶのと同じように、可能性が限りなく低いことなのかもしれない。

可能性の低いこと、で思い出すのは、Aメロで語られていた「1%の未来」である。また、「新しいストーリー」とは、同じくAメロに出てきた「物語」のことだろう。

さらに、Bメロであったように、Girls戦士と視聴者が共に未来を信じて飛び込めば、ハッピーなシナリオにすることができる。このサビは、聴き手の未来に無限の可能性があることを伝える、最強のメッセージだ。

 

《サビ2》

カモカモ ComeOn ! 夢かなうかも?

カモカモ ComeOn ! 強くなるComeOn !

私たちずっと

友達だもん Come on baby!!

 

続くパートでは、難しさを踏まえつつ夢が現実味を帯びてきた変化を描いている。

「夢かなう」は、「空飛べる」「恋」と同じように、「1%の未来」のひとつだ。だが、繰り返しの最後だけは「かも?」の半疑問形ではなく、「強くなる」と断言し、再び「ComeOn ! 」と呼びかけ誘う。私たち=Girls戦士と視聴者は、一緒になることで強くなり、夢を成就できるようになる。

そして、既に物語は始まっているのだろう。一緒に飛び込んだGirls戦士と視聴者は、もう「ずっと友達」なのだ。

 

 

さいごに

おそらく『ひみつ×戦士 ファントミラージュ』の主題歌として書かれたであろうこの「恋するカモ」の歌詞は、歌い手=Girls戦士と、聴き手=視聴者との関係性を描くことによって、番組を通じてどんなメッセージを受け取って欲しいか、Girls戦士が視聴者にとってどんな存在になって欲しいか、を表現している。

さらに、楽曲の構成も、呼びかけ→物語のスタート→不安→友情→ハッピーエンドの予感、という感情の流れを作ることで番組全体への期待も感じられ、安心して物語を楽しめる導入にもなっている。

曲の完成度に驚くとともに、シリーズ3作目にしてひとつの頂点に達したGirls戦士たちのこれからの活躍に期待したくなる。