3月11日 (金) 午後2時46分



子供達はお昼寝の時間だった。

テレビに緊急地震速報が入った。



と、その瞬間から今までに経験した事のない揺れが襲って来た。



私は小さい頃、宮城県沖地震も経験済みでその時の記憶も

鮮明に残ってるけどその時とはまったく違った揺れだった。


パパも2階からすっ飛んできて、寝ていたお兄ちゃんを抱っこ

私は下の子を抱っこして、とにかく外に飛びだした。

立ってなんかいられない揺れで、右手は子供、左手はパパと

つないでいた。


外はものすごい音と揺れで、夢?現実?と思っちゃうほど

一瞬にして周囲は今まで見た事のない風景に変わっていった。


かなり長い時間揺れてた気がする。


揺れが収まりふと、我にかえってみると、靴は左右違う靴だし

そう、ヴィトン!と、思いすぐ玄関に向った。


無事、ヴィトンを救助!(ホっ)


仕事に行ってる母親は大丈夫か心配だった。

携帯もなかなか通じなく、しばらくして母親からメールが入り

私達も無事な事を伝えた。


ご近所さんも次から次へと外へ飛び出して来た。

泣き叫ぶ女性や怯えた小さい子供達。


わが家の裏の方では、

「白い煙を出してガス漏れしてる!」

と叫んでる女性もいた。


凛は何が起きたか分からず、ぽけ~っと寝ぼけ眼。

天くんはいつも通り落ち着いた状態。

ヴィトンは恐怖に怯えブルブル状態だった。


家族5人と近所の子供達とみんなでひと固まりになって

道路に座り込んだ。


それから数分。

また立ってられないほどの激しい揺れが襲って来た。


家は今にも崩れそうな勢い、周囲の瓦屋根の家は瓦が落ちる音が

凄い音を立てながら揺れている。

揺れの勢いも収まり、とにかく大切な物、貴重品を車に運び出して

非難の準備を急いだ。

そんな時、母親も会社から帰って来た。


そして雪が降り出し時間は夕方4時前頃。


私は食料を調達しようと近所のコンビニに自転車を走らせた。

土手沿いを雪の中走らせて行くと、

「来るぞ~~~~~!!!」

と言う声が反対側の土手から聞こえて来た。


私は何が?何が来るの??

と思った瞬間、

一気に真っ黒い泥水が激しく波をうねらせて押し寄せて来た。


これが津波だった。


初めて目の前にする津波は声も出ず口があんぐり。

すぐ携帯ムービーで撮影。

(画面が乱れますがご了承ください)


いつもはこんなに穏か(4月21日撮影)
Newヴィトンファミリー。


撮影中は手が震え、ここまで水が来るじゃないかとハラハラドキドキ。

川の流れでこんなに凄いんだから、海はもっともっと激しいかった事が

よく分かる。


土手まで上がってくる家も浸水!?

(昔、大洪水も経験済みなのでまた浸水の恐怖もよく分かる)

これでは時間の問題だと思い、買い物は諦め自転車を飛ばし帰った。

すぐパパや近所の人たちに知らせ、一斉に車を出した。


どこに向ったらいいのかも決めずとにかく走り出した。

周囲の近所の道路はもうすでに渋滞。

細い道路がよけい細くなって身動きが出来ない状態になってしまった。

ふと、目線を横にずらすと道路が浸水してる箇所も出てきた。


そうこうしてる間、パパの実家と連絡が取れた。

話を聞くとライフラインはすべて使えずだけど、

家の中はほとんど地震の影響は無かったようだ。

仙台よりは安全かと思い当日はそのままパパの実家へ非難する事にした。



次の日帰ってみると、やぱり津波の影響でわが家の目の前の道路にも

水が来た形跡があった。

幸い床上・床下浸水にならずに済んだからよかったものの、

改めてわが家を見ると、もう住める状態ではないのが一目で分かる

状態にまでなっていた。

↓隣のお家が丸見え状態。

  内壁がすべてはがれ落ちた。
Newヴィトンファミリー。

↓お風呂の壁が一面落ちた。

  トイレも同じ状態に。
Newヴィトンファミリー。

↓2階へあがる階段は見ての通りに。
Newヴィトンファミリー。
↑すべて片付けてから撮った写真なので物はありません。


こんな状態で余震が続く中横になって寝る事はさすがに怖いし

体が休めないって事で、それらか3日間私達家族は

車での寝泊りが始まった。


避難所も考えたけど、小さい子供に犬もいるし絶対ムリっ!

案の定、避難所はペット禁止だった。


昼間は家の片付け、電気がないので暗くなる前に夕飯を済ませ

近くの広い駐車場で寝泊りする生活だった。

車で生活するにあたって、唯一よかった~って思うこと、

それは車を買い換えてたことかな。ちょうど一年前になる。



車生活も3日も過ぎた頃、母親のお友達が

「一緒に避難生活しよう!おいでよ!」

と言ってくれた先は、自動車学校の託児所だった。

もう天国だった。

電気・水道・ガスがなくたって気の知れてる家族と一緒にいられるってのが

お互い一番の励みであって支えだった。


ライフラインも徐々に復活して来ていつもは当たり前の事で

思ってもいなかったけど電気が付いた時は感動だった。



お世話になってる最中に、新しい家探しにも回った。

ペット可能で幼稚園が近くて母親の会社も近くて・・・

と、↑の条件に揃った物件もすぐに見つけ(と言うより友達に頼ったんだけど)

こうして自動車学校託児所へは5日間お世話になり

無事、3月20日に引越しが出来た。


↓不動産巡りをしてると驚きの光景が・・・

  川の真ん中に家が。

  津波の恐ろしさが伝わり見た瞬間鳥肌が立った。
Newヴィトンファミリー。


その時点では荷物もまだ半分以上、以前のアパートに置きっぱなし

だったけど、それから数日間かけてすべての引越し作業も完了した。


震災からの1ヵ月は今まで経験した事のない早さだった。


まだ震災の爪あとはこうして↓1ヵ月経った今も残り

あの揺れが体にしみついてるせいか、余震でも恐怖を感じてしまうけど、

いつまでも下を向いてても始まらない。

来週には延期になっていた幼稚園の入園式もあるし

徐々にだけど、復興に向けて前を向いてみんなで助け合いながら

一歩ずつ頑張って行きたいと思う。

(いつも遊んでた神社公園 4月21日撮影)
Newヴィトンファミリー。


今週初めに家電とネットも繋がったので

震災当初の出来事をUPしました。

長くなりましたが最後まで読んでくれた方々

ありがとうございました。


震災当初から心配してくださったみなさん、

たくさんの温かいメールや物資

本当にありがとうございました。

これからどんな形になるか分かりませんが、

少しでも恩返しが出来たらと思ってます。

本当にありがとうございました。