ある時、2月14日のバレンタインデーの日に、
 チョコレートをたくさん届けられたモテモテの課長が、
 「こんなにチョコレートばかりもらってもしょうがない。
  何か他のものを誰か考えてくれたらなあ」
 と仕事中に愚痴をこぼしました。


 その愚痴を、前向きに受け止めた女性社員がいました。
 その課長はもともとウイスキーが好きでした。
 バレンタインの贈り物は、買うのは女性だが、もらうのは男性。
 何か洋酒でバレンタインギフトを考えられないものか。

 女性が買い手だから、女性的イメージをもったブランデーはどうだ。
 ブランデーはフランス語では女性名詞でもあるから良い。
 また、女性らしくプチという言葉に相応しいサイズにして、
 かわいらしさを出してみるとどうだろう…

 などと彼女は知恵を絞り、
 「ブランデーVSOP」をかわいい小瓶に入れ、
 包装を透明にしてハートのアクセサリーをつけた商品を提案しました。
 そのバレンタインギフト用ブランデーは実際に商品化され、
 その後に十億円を超える人気商品に育ちました。


 アメリカンのキャッチコピーも、VSOPの小瓶ギフトも、
 日常の生きた生活の観察の中から見つけ出されたものです。

 新製品や広告宣伝のタネは、街中や日常の中にある。
 それを発見する高感度のアンテナを磨くことを、
 同社の名誉会長・鳥井道夫氏は、バードウォッチングならぬ
 「シティーウォッチング」といって、
 全社員に習慣づける運動を行なっていたのだそうだ。