これまでのパターンであれば、数年後にはまたメジャーアップデート版のWindows11、またそれから数年後にはWindows12、といったように進化し、大きな変更はそのメジャーアップデートのタイミングで行われていたと思います。
しかしこれからのWindowsは、そういった数年単位の「メジャーアップデート」を行うことはもうないのだそうで、今後はいつでも新機能や大幅な変更を「Windows Update」を通して提供していき、「Windows10」というブランドは変わらなくとも数年後にはまるで違うOSになっている可能性もあるような、柔軟なアップデートになるそうで、まるでクラウド上のオンライン製品のように変化していくようです。
ただし、それだと企業でビジネスにWindowsを使用する際の安定性が問題になったり、ましてや基幹システムに使用されているWindowsではさらに何が起こるかわからない、ということになってしまいますので、今後はアップデートの形態には3種類設けられ、最長で数年間はセキュリティ更新以外の更新をしなくてもサポートされるという形態もあるようなので、逆にこれまで以上に安定性を求める企業ユーザーにとっては良いOSになると思われます。
さて、そんな柔軟なアップデートを取り入れたWindows10ですが、個人的に最も興味深いのは、復活したスタートメニューでも音声認識のコルタナでもユニバーサルアプリケーションでもなく、今回のWindows10の開発に採用された「Insider program」という、お客さんの声を開発に反映させるシステムです。
Insider programとは、開発途中の中間ビルドを積極的に使ってくれるお客様から、直接「この機能はいい」とか「この部分はこう改善してほしい」とか、フィードバックを収集して、開発のデザインの方向性を決めるというものなのですが、これをどうやって実現したかに興味があります。
フィードバックは文章で入力して送信するようになっており、本当に気軽に簡単にできるため、世界中に存在するおびただしい数のInsider programの参加者(もちろん自分も参加しています)から、到底一個一個読んでいられない数のフィードバックが来るはずです。
これをどうやって読み、反映させたのかが興味深いのです。
なお、フィードバックは英語以外でも受け付けられますが、翻訳に関しては機械翻訳を使い、その品質はある程度目をつぶってすべて英語として受けたことはおそらく間違いないと思われます。
しかし、いくらすべて英語だけであっても、社員数を大幅に減らしたりしているマイクロソフトさんが人間の手で一個ずつ処理することは試算するまでもなく不可能な量になっているはずです。
その処理方法は、(完全に憶測ですが、)おそらく文章解析エンジンを活用しているのではないかと思われます。
英語であっても、同じような内容のフィードバックを表現する文章は複数存在し、単純な単語解析処理ではそれらを同じフィードバックとしては認識できないのですが、今では文章の意味を解析するエンジンが大変進化しており、Windows10のコルタナや、iOSのSiriのような人工知能もどきが製品化する時代ですので、おそらく、違う文章ながら同じ内容のフィードバックを選別する処理を自動化することは、かなり高い精度でできているものと思われます。
それで、同じようなフィードバックがすでにバグデータベースに登録されているかをサーチしてもし同じようなものがあれば、そこに+1票のような形で追加する、という処理がすべて自動化できているとすれば、これは有益です。
おそらくフィードバックには、相反する内容(例えば、スタートメニューはやっぱりあった方がいい!というフィードバックがある一方で、いやいやなんのためにWindows8でスタートメニューを廃止したのかわからないし今更つけるべきではない!というフィードバックもあることでしょう)があると思われますが、世界中から不特定多数のフィードバックを受けることで、多数決に近い形で比較的ロジカルにその機能をどうするべきかを判断することができるはずです。
・・本当にそうやってフィードバックを反映させているのかどうかはわかりませんが、それでも間違いなく、フィードバックの文章の自動解析が一つのカギになっているものと思われます。
まさかそういう文章解析の技術が、OSのようなソフトウェアの開発に役に立つ時代が来るというのも、また面白いと思います。
ちなみに、これは有名な話はありますが、Windows10のビルド番号が素晴らしいです。
ビルド番号 10240。 これは10×1024、つまり10Kですね。まさに10です。

意図してこのようにしたのか、ほぼ偶然そうなったのかわかりませんが、たぶん、最初はあまり気にせず番号が進み、あるあたりから意識的に10240に落ち着けるようにコントロールしたのではないでしょうか。
Insider programのビルドも、10161、10162あたりまでは順当な進み方だったと思いますが、そこから一気に102XXにジャンプしたような印象です。
いずれにしても、今後のWindows10の普及と進化に期待したいところです。