これまでのブログでも建設業の現場監督がいかに大変な仕事であるか書いてきたが、今回は特に自分がつらいと思ったことを書いていこうと思う。

 

 私は建築の現場監督をしていたので、その仕事内容は要約すると設計士の先生が設計されたビルやマンション、工場などの建物を図面通り建てるというものだ。

 

 みなさんも自分の家を建てたり、自分の会社で新しいオフィスビルや工場を建てることを想像してみてほしい。建物が完成したときというのは100%、全てがきれいにできていて当たり前で少しでもミスがあれば施工不良だと思われ罵詈雑言を浴びせられることになる。もちろん、こちらも建築のプロでありそれでメシを食べているわけだから少しくらいのミスならしょうがないというスタンスで仕事するのはよろしくない。

 しかし、お施主さんの希望通りにしっかりいいものができたときは「ありがとう」の一言がほしいと思ってしまう。そして、これが私が感じた一番つらかったことでどんなにがんばっていい建物を建てたとしても末端の作業員が仕事を通して人からお礼を言われることはほぼないのだ。朝から晩まで一生懸命働いて、100%うまくいって当たり前、何か不備があると上司から、職人から、お施主さんから総スカンをくらう。自分の仕事を通して、何か社会の役に立っているとか人から感謝されているといった実感を持つことはなかった。

 

せめて頑張って仕事して、いい仕事をすれば人から感謝されると思えばもう少し頑張れたかもしれない。

 

みなさんが建物を建てる際は、ぜひおおらかな気持ちでいい仕事をしている作業員には一言お礼を言ってあげてほしいと思う。