1票の格差が違憲と最高裁が判断したことは、法学的には正しいと思うが実務を複雑にしてしまったことも間違い無いと思う。
元来、民主主義は多数決の論理で物事が進むものであるが、その中でマイノリティとなる少数意見をいかに汲み上げ、少数派を保護していくのかが重要であることは言うまでもない。
1票の格差は、まさしく多数決の理論であり、民主主義の根幹を成す論理であるから、その通りに行えば人口の少ない地域は少数意見の地域となり都市部を中心に政治が行われることととなる。
それを、地方の少数意見が小さくならないように人口で無く地域に重点を置き定数を定めていたのが、今までの選挙制度であるが、議員定数の削減と共に1票の格差を是正するとなると、地方の定数が限りなくゼロに近くなるのではないかという問題が発生する。
例えば、東京都で10の議席があったとして、定数を半分にすると5、都民を1200万人と仮定すると定数1に対して240万となる。
つまり地方は240万人を集めなければい議席を作れないことになり、過疎の進んだ地域などでは1票の単位面積は膨大な広さとなり、地域が広がれば問題の質や内容も多岐に渡り、それを一人の議員に託さなければならなくなる。
そして、その意見を国政に持っていっても有権者数の多い地域から選出された議員の意見が数の論理により通ってしまうという問題になる。
つまり、法の理念に基づき人に重を置くのが1票の格差であり、実務の面で地域の問題を出来る限り都市部と地方が公平になるように設計されたのが現行の選挙制度であると言えよう。
これだけ考えても、議員定数削減とは単純に数を減らせば良いという問題ではないことはお分かり頂けると思う。
無論、既得権益にこだわる与党、野党の議員が存在することは否定していないが、それが全てであるかのような報道やコメンテーターの意見は問題であろう。
少数意見を汲み上げるという理念に基づく実務、いわゆる新しい選挙制度を議論し示すような行動が、コメンテーターや評論家と言われる人種に必要であり、報道は、それを元に制度改革の方向性を示しながら政治家に制度改革を促していくのが道理ではないのか?
単純に数を減らすだけなら、比例区を全て無くせば1票の格差に関係なく定数を減らせるが、それに反対しているのは議員数の少ない野党勢力であることをマスコミは報道すべきではないのか?
定数を削減していないと声を高らかに騒いでいる人間が、実は削減に反対しているという・・・自分達に影響少ない定数削減を訴えている・・・矛盾した構図を国民に知らせるべきだと思う。