火付け盗賊改め方の役宅で板前をする勘助は、女房を人質に脅されて鬼の平蔵と呼ばれる火盗改め長官、長谷川平蔵の膳に毒を盛る。
全てを解決し、勘助は島送りとなるが、平蔵は勘助の女房、お照に
「俺に毒を盛った亭主を、何と思う?」
と、問いただす。
お照は平蔵に
「殿様には申し訳ありませんが、女房の私を思ってしてくれたこと、嬉しく思っております。」
と、きっぱり答える。
平蔵は、その正直さ真っ直ぐさに大笑いをしながら、役宅に雇い入れることを決め、亭主が帰るまで何年でも待つだろうと密偵・相模の彦十に話す。
私は、原作者の池波正太郎の描く、人情の機微というのが好きで、この話でもお照るとのやりとりを思い起こす時に彦十に、
「いかにも、女という答えをしやがった。」
と、笑いながら話しかける。
とかく本音を隠し建前で語る人間に向けて、正直なのも気持ちが良いだろう?と訴えかけているような、このシーン、この台詞が好きなのです。