トーベ・ヤンソンという人が好きです。
日本でもおなじみの「ムーミン」シリーズを書いた作家さんです。
彼女が大人向けに書いた「誠実な詐欺師」は本当に本当に、わたしにとって大事な作品。
お金にルーズで、人にも簡単に境界線を越えさせてしまうルーズさを持つ風景画家と、数字に強く、平等と真実を重んじる貧乏な女性の物語。
トーベ・ヤンソン独自のシニカルで冴えた視線で描かれていて、もう、本当に素晴らしいのです。
北欧の空気のように張り詰めている人間関係。
まったく価値観の違う二人がお互いに自分の領域を侵され、崩壊していく様子が静かに描かれています。
彼女は、執着するがゆえに失う人達を描くのが本当に上手。
それは、ムーミン谷の中でもたびたび登場するテーマ。
そして、すべてを失った後の清々しさが気持ちいい。
何もない孤島での生活を楽しんでいた彼女でないと書けない物語だと思います。
今日、本屋で偶然、短編集の「黒と白」を見つけました。
あまりにびっくりして目を疑ってしまいました。
彼女の本は以前に全集が出たものの、すでに絶版。
その一部が、今回新たに文庫で出版されたようです。
しかも、「いわばダークサイド」と評される作品を集めたものらしく、もうわたし好みなこと間違いなし!
すでに読む前から、思いがけないプレゼントをもらったみたいに幸せな気持ちです。