私はホテルの部屋に閉じこもって
ぼーーっとしてみる
ファッションは好き
本当にあれほど触れていたい
知りたいと思うものはないもの
でも
世の中には私の知らないラグジュアリーが
あの頃
まだ
沢山あったの
今?
今はそんなこと言わないわ
それじゃ
バイヤー失格だもの
でも
当時
正直、会社も上手くいって
経営という仕事も楽しかったのも事実
当時の私の憧れは
ビルゲイツがスピード違反で捕まった時の
あの天才的な微笑み
と
ココ・シャネルの生き方
どちらも憧れだったわ
経営は好きだったわ
そりゃ
神経磨り減ることも多いし
上手くいかないこともあったし
仲間と口論になる時もあったけど
バフェットの
「いける時は、いっきにがんがんやるんだ」
という名言に従い
私は経営そのものも楽しんでいたの
でも
1日は24時間
当時の睡眠時間は2,3時間
いつも雑誌やパソコンの画面に眠る前にしがみついて
ふと気づくと朝で
顔にキーボードの型がついたまま大学に行くこともしばしば
それでも時間はもっと欲しかったわ
しかも
私はあの時
自分の少ない範囲内でしかコレクションを見ていなかったの
バーバリープローサムにまで正直
範囲が及んでいなかったの
ほんと
馬鹿ね
反省から15分
女の立ち直りは早いわ
私はホテルからタクシーに乗って
本屋に直行
ファッション雑誌を手当たり次第購入
ハワイはアメリカだもの
そりゃ
日本の本屋さんでは売っていない本もあるし
雑誌もある
バブル期の日本人が
まるで免税店でブランドをまとめ買いするかのように
私は本や雑誌を買いあさったわ
レジのおばちゃん?
大喜びでレジの横にあったお菓子もおまけで数個入れてくれたわ
あたしゃ子どもかい
と思いつつ
その好意にふと笑顔になりつつ
ホテルへ戻って
次はパソコンをネットにつなげる
私
自慢じゃないけど
パソコンなんかの機械系は本当に
使えない女よ
結局
IPHONEも使い方が分からなくて
ドコモの古い携帯を普段は使ってるくらい
ネットを接続すること
40分
何とかつながって
バーバリープローサムを調べる
調べる
探す
探す
雑誌、本を
読む
読む
読む
探す
読む
この繰り返し
廊下から
「もぉ~たかちゃんったらぁ~」
とかいう声が聞こえてくる
私はたかちゃんどころではない
読む
見る
探す
読む
見る
探す
ご飯はフロントに電話をして
フレッシュジュースで済ます
インターネットには
本当に私の知らない情報がたくさんあって
私はその時
海外のブログを見つけたの
そこには
日本の百貨店においてあるあのバーバリーの
批判
批判
批判
の嵐
そう
バーバリープローサム
バーバリーロンドンは
日本で売っていない
今はセレクトショップや
阪急メンズ館にバーバリープローサムはあるけど
今も多く日本の市場に出回る
バーバリーと名のつくものは
全て三陽商会という会社がライセンスを
ライセンス絶好調の時期に買って今に至るもの
あれは
三陽商会がデザインをして
前面にバーバリーチェックむき出しの
品のない洋服なのよ
賛否両論
でも私はその事実を知って
日本のバーバリーを毛嫌いするようになったのが事実
本来の
本物のバーバリー
ここで紹介したいと思うわ
私より知ってる人は
勿論すっ飛ばしてね
バーバリー
その歴史は100年以上ある
1856年に設立されてる(トーマス・バーバリー)
超老舗
そして
このバーバリーは王室御用達
今もイギリスを治める王族がお召しになっているもの
その素材は勿論だけど
バーバリーが手掛けた服は
軍隊の軍服としても活躍
そこから生まれたメンズのコンバットブーツは今もあつい人気
そしてこれをなくしてバーバリーは語れない
トレンチコート
これは本来
軍服です
はい
軍服なのです
この軍服は王族を支える軍人の象徴で
まさに市民からは憧れの的
正義の衣装だったんだもの
それに改良をかさねて
例えば軽量にしたり
生地を薄めにしたりしたのが
今あるトレンチコート
トレンチコートの本家本元はバーバリーなのよ
そして
1999年
最初のプローサムのコレクションが始まる
プローサムはトレンチコートで
新たなる提案をしたの
それは
トレンチのベルトを後ろで結ぶスタイル
あれはプローサムが提案したファッション
今はトレンチコート
多くの人が後ろで結んでるけど
それを提案したプローサムのトレンチコートは
ベルトが崩れない
そう
センスのないそのへんのトレンチコートのベルトは
弱い
すぐくにゃっとなって後姿なんて見るに耐え難い
ついでに
百貨店にあるバーバリーも私に言わすと同類
プローサムや
本物のバーバリーロンドンのトレンチは
形が立体的で
シルエットを崩さない
まさにセレブに必要な瞬間の美を演出する
最高級のコートなの
レディースのファッション界でもその衝撃は今なお語り継がれているの
で
メンズ
本家本元のバーバリーは
前面にバーバリーチェックを押し出すファッションを提案しない
アイテムでみると
選び抜かれたカシミアでつくられたマフラーなんかはあるけど
その多くはコートの裏地などに使用される
そう
脱いでも美しいコートになるの
風がなびく
コートの裾がちらっと見れる
それがバーバリーチェック
それがオシャレなんだと豪語するのが
日本の三陽商会が嫌いな方の意見
似合えばいいと言う人がいるけど
私は違うと思うわ
日本のバーバリーしか知らないだけよ
似合うんじゃなくて
もう既に選ばされているだけ
本物が似合わない人なんていないもの
そこでどんどんプローサムについて調べる
プローサムのドレスはどこか強いイメージがあるものが多い
シルクやフリルを強調したドレスや
あからさまに私は女です
といったドレスは本当に滅多と見ない
どこか女性のたくましさや
強さを強調するようなシルエットでありデザイン
それは
本当は弱い男性が求める
希望の女性像かのようにも見えるわ
女性は弱いもの
はいはい
そんなの20歳過ぎたら
ぶっちゃけ絶世の美女じゃない限り通用しないわ
たくましすぎても困るだろうけど
男性だって弱さを持つ
それを支え
守るような
温かい女性像をモチーフにしたバーバリープローサム
まるでイギリスの軍人を
温かく
優しく看護した女性のような
そんなイメージ
攻撃的な強さでなはくて
芯からにじみ出る強さをプローサムは表現しているわ
この表現
正直
他のラグジュアリーでは真似できない
イギリスの軍人が
敵の軍人を殺す
イギリスの軍人は祈り
涙を流す
そして
自分の着ているバーバリーのトレンチコートを
目の前で横たわる
その場で会わなければ友になっていたかもしれない
同じく家庭を持つ
自分が殺した男性にかける
涙を流しながら
爆撃にあって
腕をいためた軍人が
医療テントに帰る
戦争で心痛めた戦士を温かく
優しく見守る天使
天使はどこにでも飛んでいく
負傷者が出れば
戦場へも飛んでいく
金属の破片や鋭角なものから
天使の足を守るレザーの靴
それらは全てバーバリー
バーバリーは歴史とともに生きている
そして現代においては
ファッション界の王族として君臨している
私はそこまで調べて
今は亡き、その軍人たちの行動に
少し涙を浮かべながら
深い眠りについたの