通された部屋は別に
広くもなく狭くも無く
でも
エルメスらしい茶系でまとめたれた部屋に
オレンジの箱や袋が沢山あって
1階のフロアとは違い
全く香りがしない部屋
テーブルに置かれる2L入りの水
それだけが場違いだけど
それも何だか絵になる
さっきのスレンダーお姉さんが話す
(勿論私は理解できない)
「…?なんかお持ちのケリーバッグのお直しについて
説明するってゆうたはる…」
はい?
ケリーなんて持ってませんが?
いや
むしろケリーを見にきただけなのですが…
2人して頭がこんがらがっても
お姉さんはひとつの箱からケリーを出してきた
底の角はぼろぼろで
革にかなり線の入ったケリー…
「お直しには本来ご説明がいります…ってゆうたはる」
はぁ…
後から知った
このお部屋はエルメスの顧客さんが優先的に
お直しができるようにお直しをする時に使う部屋
さっき大量に使用人が持ってきたバッグたち
あれらも本来は説明をうけてクリーニングや
お直しをするというが…(見積もりってやつ?)
さっきの使用人の家はそんなもの聞かず
全てエルメスに任せてしまうという
でも
本来は説明がいるとのこと。
それを
私とおばあちゃんにしてやろう
これはそういう話だったのである
マジかいな
何でやねん
ほんまいかいな
頭
パニック。
確かに
新品のケリーもここにはあると言う
でも
それを確かに私が触るわけにはいかない
エルメスの信用をなくすから
でも
さっきの使用人にこのスタッフの女性は確認をしてくれた
「そこにいる日本人はケリーを見に来た。
あなたの主人が持ってるバッグを披露してもいいか?」
答えはOK…
白い手袋をしないで
触ってもいいという
その部屋にあった30個のエルメスバッグ
追加された27個のバッグ
合計57個のバッグを私は1つ1つ見れることになった
1つの説明でだいたい2時間弱
聞きたいことが沢山あったんだもの
35センチ
オーストリッチのバーキンの説明で
そろそろ閉店
明日
そのお姉さんはお休みだという
(今思うと日曜日なのだから当然か)
月曜日に必ず来ると約束した
半ば半信半疑
まだ
夢見心地の私にとって
その日1日の出来事は正に夢
絶頂を飛び越えると
人は無になるらしい
初めて
ようやく
本物のケリーバッグに触れることができた
何が本物なのか
そして何が偽物なのか
それらも詳しくきいた
何がエルメスなのか。
おばあちゃんに聞いてもらった
日本を含めてアジアでは偽物が出回っている
どう思う?と
「所詮、偽物を持つ人間なんて
その人間自体が偽者よ。
何の価値もない人間だと宣言してるのよね」
この言葉は今の私にも深く刻み込まれている
19才冬
初めて人様のケリーバッグに触れることができた
広くもなく狭くも無く
でも
エルメスらしい茶系でまとめたれた部屋に
オレンジの箱や袋が沢山あって
1階のフロアとは違い
全く香りがしない部屋

テーブルに置かれる2L入りの水

それだけが場違いだけど
それも何だか絵になる

さっきのスレンダーお姉さんが話す
(勿論私は理解できない)
「…?なんかお持ちのケリーバッグのお直しについて
説明するってゆうたはる…」
はい?
ケリーなんて持ってませんが?
いや
むしろケリーを見にきただけなのですが…

2人して頭がこんがらがっても
お姉さんはひとつの箱からケリーを出してきた

底の角はぼろぼろで
革にかなり線の入ったケリー…

「お直しには本来ご説明がいります…ってゆうたはる」
はぁ…
後から知った
このお部屋はエルメスの顧客さんが優先的に
お直しができるようにお直しをする時に使う部屋
さっき大量に使用人が持ってきたバッグたち
あれらも本来は説明をうけてクリーニングや
お直しをするというが…(見積もりってやつ?)
さっきの使用人の家はそんなもの聞かず
全てエルメスに任せてしまうという
でも
本来は説明がいるとのこと。
それを
私とおばあちゃんにしてやろう
これはそういう話だったのである

マジかいな
何でやねん
ほんまいかいな
頭
パニック。
確かに
新品のケリーもここにはあると言う
でも
それを確かに私が触るわけにはいかない
エルメスの信用をなくすから
でも
さっきの使用人にこのスタッフの女性は確認をしてくれた
「そこにいる日本人はケリーを見に来た。
あなたの主人が持ってるバッグを披露してもいいか?」
答えはOK…
白い手袋をしないで
触ってもいいという
その部屋にあった30個のエルメスバッグ
追加された27個のバッグ
合計57個のバッグを私は1つ1つ見れることになった
1つの説明でだいたい2時間弱
聞きたいことが沢山あったんだもの
35センチ
オーストリッチのバーキンの説明で
そろそろ閉店
明日
そのお姉さんはお休みだという
(今思うと日曜日なのだから当然か)
月曜日に必ず来ると約束した
半ば半信半疑
まだ
夢見心地の私にとって
その日1日の出来事は正に夢
絶頂を飛び越えると
人は無になるらしい
初めて
ようやく
本物のケリーバッグに触れることができた
何が本物なのか
そして何が偽物なのか
それらも詳しくきいた
何がエルメスなのか。
おばあちゃんに聞いてもらった
日本を含めてアジアでは偽物が出回っている
どう思う?と
「所詮、偽物を持つ人間なんて
その人間自体が偽者よ。
何の価値もない人間だと宣言してるのよね」
この言葉は今の私にも深く刻み込まれている
19才冬
初めて人様のケリーバッグに触れることができた