「ボンジュー、マダーム」

通い続けたエルメス
初めてこちらから声をかけなくても
挨拶をしてくれたスタッフ達



フライトの延期をしたと伝える
(勿論、おばあちゃんが)
すましてたフランス人の何人かが笑い出した
怖そうなおじさんが
やれやれという手振りをしていて

「今日、いいものが入ったけど見る?」
とのこと




漫画みたいにここでケリーバッグが出てくる
なーんて思ったら大間違い






5分くらい
店内で
エルメスのカシミアについての説明を聞いていると

なにやら大きい箱が出てきて
3人くらいで慎重にあけだした

どうやら服のよう
コート?






取り出されたコートのようなもの
白いベールをはがされて








声も出なかったわね











それは







レディースサイズ38から36位の
トレンチコート








クロコダイルのね







おばあちゃんと2人で口ぽかーん









すごく綺麗








マッドタイプのそのコートは
薄いグレーで
エキゾチックというか
セクシー








「オーダーが入って
今日、届いたんだ」
とのこと







「触ってみるかい?」
と言われたそうだけど
首を大きく横に振ったわよ








あまりにも
完璧すぎる
神々しい輝き(嘘じゃなくて)
そんなものに手を伸ばせない状態











そのコートの説明を
私は1時間ほど聞くことができた





エルメスのクロコダイルのコート(ロング)
クロコダイルの値段によって金額は変わる
そして日本には一切入荷しないという
クロコダイルのコート…


当時のレートで2500万ほどだそう







って








2500万






もう
そんな金額じゃ驚かないわよあーた
それ以上の価値があるものなんですもの
結局
スタッフに進められ
生の(?)クロコダイルを触った





鳥肌がたったわよ。










で、説明を受けていると
4人くらい似たような格好をした
男の人が入ってきた
なにやらスタッフと親しそう
男4人で何を買いにはてなマーク








今まで目の前にあったクロコダイルのコート
それが丁寧にオレンジの特大エルメス箱にしまわれ
特大リボンをかけられてゆく




おばあちゃんが話を聞いている
「このコートをオーダーした人んちの使用人みたいだね~」







使用人?!



自分で取りに来ないんですか?!
というか
何ゆえ4人?!
あれはそんなに重いんですか?
重いんですか?!

2500万って聞くよりビビる私







その1人の使用人と
エルメスにいたスレンダーなお姉さんがなにやら話してる

そして外に出て行った
次は
沢山のオレンジの袋抱えて4人が入ってくる
???





はい?
袋を持って出て行くんじゃないわよ
袋を持って入っていたのよ???









ドサァーーーー
とガラスの上に並べられたオレンジの保存袋
なんじゃこりゃ



またもや
おばあちゃんと2人で呆然







1人の使用人がなにやら話してて
エルメスのスタッフが紙を渡して







終了





エルメスには
スタッフと私たち

オレンジの保存袋のかたまり






スタッフがこっちを見て微笑んでる
皆集まって
その袋から何かを取り出す








ケリーバッグ






カデナが光ってるけど
あれはまさしくケリーバッグ








ケリー
バーキン
見たことの無い形のバッグ


クロコダイル
オーストリッチに
リザード…



カデナが全部光ってると思ったら
あれは全てダイアモンドだという













吐きそう
(お食事中の方
ごめんあそばせ)
眩暈がする
クラクラする








いつのまにやらスタッフが笑っている









30個ほどの
色とりどりのエルメスバッグたち
これは…返品ですか?




そう思っていると全然違って





「お直し」
だそう。



はぁ…
お直し???








エルメスはバーキンやケリーなんかは
お直しに出せる
このカバンたちはたった今
お直しに出されたそう






まるで
まとめてクリーニングに出すような状態である…








スタッフがそれらを1つづつ運んでいく
そして私たちは個室?のような
応接室のような場所へと案内された
それは
1階でもなく

2階でもなく

3階でもなく…

そこにはさっきのケリーは勿論
バーキンもあった









ここはどこ?