松尾芭蕉 奥の細道 十五 軒の栗 | まいどーおおきに 河内の樹々の独り言
松尾芭蕉 奥の細道 十五 軒の栗

この宿[しゅく]のかたはらに大きなる栗の木陰たのみて、(八)世をいとふ僧あり。「(一)橡[とち]拾ふ深山」もかくやとそゞろに覚えられて、ものに書きつけ侍る。その詞[ことば]

 栗といふ文字は西の木と書きて、西方浄土に便りありと、
 (二)行基菩薩の一生杖にも柱にも、この木を用ひ給ふかとや。

  (三)世の人の見つけぬ花や軒の栗
 

(一)西行が高野山に住んでいたころ大原の寂然に送った歌に「山深みいわにしたゝる水とめむかつヾつ落つる橡拾ふほど」(山家集)
 
(二)奈良朝の高僧。聖武天皇・光明皇后に菩薩戒を授け、諸国を巡行して多くの寺を建てた。天平二十一年(七四九)寂

(三)この芭蕉の発句に栗斎は「まれに蛍のとまる露草」と脇をつけた