古都の裏居酒屋 18禁 裏木戸を開けて | まいどーおおきに 河内の樹々の独り言

表のシャッターは下りている。
約束の裏木戸から「こんばんは」と声をかけるが返事が無い。
中に入って見るとカウンターもすべてかたずけてある。

奥の方から

「どうぞお入りください」と声が掛かった。

男が先にあとから御隠居、ミッちゃんと続く。暗い中をぐるりと回る様に裏側に回った。

部屋には女将が正座をしていた。

「ようこそいらっしゃいました。特別の御膳を用意して御座います。お二人ともはじめてでいらっしゃいますので、裏居酒屋をご紹介させていただきます。
この前の六畳の間には一人の女性が寝ています。何も身に付けてはおりません、ぐっすりと眠っておりまして多分朝まで眠っていると思います。
決して何もなさらないで下さいませ。ご酒は充分に用意しておりますので遠慮なくお召し上がりくださいませ。お帰りは入り口に鈴を置いてありますのでチンと鳴らしてそのままお引き上げ下さいませ。重ねてお願いも押し上げます。女の子には決して話しかけたり悪戯をしないようにお願いいたします。」

長い口上である。

女将は丁寧に礼をして席を立った。

女性はぐっすりと眠り込んでいて起きる様子が無い。御隠居はぐるりとひと回りをしてどっしりと座った。

座敷は丸窓がひとつあるだけの殺風景な部屋である。
窓を開けると裏側には小川が流れている。
部屋の中は桐の火鉢に鉄瓶が掛かっている、寝ている女性の身体が冷えることのない様になっている。

女性を見ると二十代後半であろうか、化粧気の無いきれいな細身の女性であり、たわわに実った乳房が見事である。

御隠居は興奮したであろうか、下戸にもかかわらず、ちびちびと酒を飲んでいる。

男はこれが秘密クラブだったのかと思った。

30分もいただろうか、御隠居は酔ったらしく鈴を鳴らした。

「どうぞカウンターへ 初めは皆さんそうですの」

せっかくのご馳走が残ってしまった、女将は手際よくお重に詰め始めた。

時間は午前2時半を少し過ぎたころである。

女将が手配をしたタクシーに相乗りしてから、ホッとしたようなドット疲れたような変な感じである。