この日は早くから雨が降ったので常連客も少なく10時には客足が途絶えた。
12時近く、女将は何処かに電話をしている様子なのでユミは特製ドリンクを安心して3杯も飲んでしまった。
このドリンクはユミの一番好きな酎ハイにライムで香りをつけてある。
女将が大切なお客のところにお重を届けるので手伝って欲しい。
帰るまでシャッターを閉めて留守番をして欲しい。
お重を作っている間も、ドリンクを飲んでいたので足元があやうく二、三度ふらついてしまった。
お重が出来上がると女将が出て行ったので奥の六畳間に転がり込んだ。
マットが敷いてあったのでその上にごろりと横になった。
女将は出て行く振りをして横の駐車場に向かった。そこには一台の車が止まっていた。
中から初老の男性が降りてきて、女将と話すと裏木戸からそっと中に入った。
ユミはマットの上にうつ伏せになってすやすやと寝息を立てて寝ていた。