いとはんのご乱行 その六 手をつなぎ公園へ | まいどーおおきに 河内の樹々の独り言

初めて会った日から、チョコレートの様な肌と真っ白い歯が目を瞑れば思い出される。
いても立っても居られない、亜希はアタックするしかないと思った。

学校が終わり家に帰るとすぐに、鞄を置いたその足で市場に向かった。
計画も何もない、若いエネルギー全開である。

この日は肉屋の前を通らずに反対側から果物屋に直行した。

青年は亜希を見つけると片手を軽く上げ「よおー」と親しげに言った。もう友達を通り越して恋人気分だ。

いつの時代も若者たちの自由奔放さにはハラハラさせられる。

二言三言しゃべったと思うと亜希は市場の出口を出た。

まもなく青年が小走りにやってきた。
二人は手をつなぎ少し離れた公園に向かった。

青年は店主に頼んでも休憩を取らせてもらったのだ。

公園に着くと肩を寄せ合い、何かひそひそと話している。

「今日もこの後仕事?」
 
「明日なら夕方から時間作るよ」

「じゃあ あしたの夕方5時に、ここで」

話しはそれだけで終わった。

亜希は明日こそ、この前の失敗の名誉挽回を誓った。

夜、ベッドに横になってもなかなか寝付けないでいた。
朝になり寝不足の頭を抱えて登校した。