初めて会った日から、チョコレートの様な肌と真っ白い歯が目を瞑れば思い出される。
いても立っても居られない、亜希はアタックするしかないと思った。
学校が終わり家に帰るとすぐに、鞄を置いたその足で市場に向かった。
計画も何もない、若いエネルギー全開である。
この日は肉屋の前を通らずに反対側から果物屋に直行した。
青年は亜希を見つけると片手を軽く上げ「よおー」と親しげに言った。もう友達を通り越して恋人気分だ。
いつの時代も若者たちの自由奔放さにはハラハラさせられる。
二言三言しゃべったと思うと亜希は市場の出口を出た。
まもなく青年が小走りにやってきた。
二人は手をつなぎ少し離れた公園に向かった。
青年は店主に頼んでも休憩を取らせてもらったのだ。
公園に着くと肩を寄せ合い、何かひそひそと話している。
「今日もこの後仕事?」
「明日なら夕方から時間作るよ」
「じゃあ あしたの夕方5時に、ここで」
話しはそれだけで終わった。
亜希は明日こそ、この前の失敗の名誉挽回を誓った。
夜、ベッドに横になってもなかなか寝付けないでいた。
朝になり寝不足の頭を抱えて登校した。