いとはんのご乱行 その壱 | まいどーおおきに 河内の樹々の独り言

船場 どぶ池の繊維卸の長女“亜希”は高校一年生。

学校は地元、船場の小学校を卒業後、私立の中学、高校、大学と船場にある女子学園に通った。
雨降りも気にならない距離の学園、学生時代は何不自由なく過ごした。
自宅は店の二階と三階であった。兄弟は男の弟が一人いるだけで、中学生になるとだんだ遊ばなくなった。

女子高でもあり男性と接する機会はほとんどない。通学も歩いていける距離、同級生と話すのは男の子の事ばかりの毎日、次第と耳年間になっていく。中には中学生で初体験を済ませた同級生もいた。
お嬢様育ちの亜紀は、両親や店の番頭さんにも可愛がられていたが、だんだん物足りなさを感じるようになってきた。

父親は根っからの商売人で腰が低くとても愛そうが良い。仕入れは父親が担当して出かけることが多かった。したがって店には母親と番頭さんが二人でいることが多く何か怪しい雰囲気を漂わせていた。
学校が早く終わったある日、母親と番頭さんが倉庫から出てくるのに出くわした。
母親は少し息が荒く、髪の毛も少し乱れている。亜希はなぜか胸騒ぎを覚えた、そして不在の父親が思い出された。

家事の手伝いをするようになり、特に買い物は積極的にかって出た。
店の二階にいてもなぜか母親と番頭さんの事が気になって仕方がなかった。
買い物に出ている方が気がまぎれる、亜希はできるだけ時間をかけて買い物をするようにしている。

買い物は近所にある市場で、食品は一応何でも揃っている。難を言えばスーパーのように冷凍食品がない。その分毎日買い物にできるのが亜希には好都合だ。あの息苦しい店から少しでも離れていられるのなら好都合だ。

一年生の夏休み、家にいるのが息苦しくて外に出た。外は夏の真っ盛り、足元から湧き上がってくる熱気をを避けようといつもの市場に足を向かわせた。