葉月 二十七
先程まで、オークションで中古のビデオ映画を検索していた。最近では新作の映画を見に行く事も少なくなってしまった。
私が何度も繰り返してみる映画がある。もちろんオークションで落札した物である。
邦画では、高倉健主演の「夜叉」、洋画はケビン・コスナー主演の「ボディガード」である。
他には「容疑者 室井慎次」「ラストエンペラー」等がある。
前出の「夜叉」は、主人公の寡黙さや男気に引かれる。人は自分に無いものを、自分と違った世界を求めて、劇中の人物や、その世界を求め映画の中に浸るのだと思う。
私と映画との付き合いは、小学生から始まり、高校卒業と同時に興味が薄れていった。
小学1年生になると、大阪市東成区、‘玉造’に移り住んだ。従兄弟も近所に住んでいたので、日曜になると十円玉を3枚握りしめて‘三光館’という、旧作3本立ての映画館に走った。中学生になると従兄弟たちと遊ぶ事も少なくなり、玉造東映、玉造東宝などに通った。近くには大映、日活の映画館もあったが、映画を見に入った記憶は無い。
高校に入学すると、一挙に行動半径も広がり、大阪梅田の‘北野劇場’に通った。
初めて北野劇場に行った時は、椅子の厚さ、クッションの良さに驚いた思い出がある。
それからもう、四十余年が過ぎようとしている。映画館も変わった、私も老いの入り口に入り、若い頃の様に、映画に対して貪欲さもなくなってしまった。
これからはよい作品を、自分のスタイルで楽しもう・・・・・・