アン・リー監督、エリック・バナ主演の『ハルク』を無かったことにして、出演者及びスタッフを総入替して作り上げた割には全体的に微妙なこの映画. リメイクでも続編でもなく、前作の記憶を完全に抹消した1本の独立した映画として作るのなら、もっと細部まで丁寧に描く作品にしてほしかったですね. アンガー・マネジメントにより緑色の巨人が暴れる原作のはずなのに、アクションよりも主人公ブルース・バナーの苦悩ばかり描いて、さほど高い評価を得ることができなかったアン・リー監督版の記憶をよっぽど消したかったのか、公開当時からまるで「超人ハルク」を映画化するのはこれが初めてと言わんばかりの雰囲気だったこの映画. なので、アクションの少ないアン・リー監督版とは違い、今回のルイ・レテリエ監督版はアクションたっぷりで十分楽しめると思います. ただアクションが多めになった分、多少大雑把になっている部分も多々あるのも事実. いくら伸縮性が優れているからといって、ブルースが履いていたズボンがハルクに変身した時も破れないというのはちょっとムリがあるやろ! とか、ブロンスキーの暴走理由も単に強くなりたいだけというのもちょっとキツいやろ! とか、挙句超人ブロンスキーとの対決でいきなり「ハルクスマッシュ! 」って命名した技をキメられても! とか、まぁとにかく細かいことは気にせず勢いを楽しんでください的なくだりが実に多いこと. 加えてアクションが増えた分、ブルースの苦悩する時間も減ってしまったのも事実. エリック・バナは悩みすぎなくらいに悩んでましたので、エドワード・ノートンの悩み具合がちょうどいい感じだと思うのですが、何分悩みすぎたエリック・バナの後ですから、エドワード・ノートンの悩みが少なく感じてしまうんですよね. あとベティの恋人だった精神科医さんの出番はあれで終わりですか? とか、ハルク解毒剤を打つシーンは『インビジブル』を意識しすぎていませんか? とか、ブロードウェイで暴れるくだりは『GODDZILLA』を意識してませんか? など、ツッコミどころもたっぷり. いくらアン・リー監督版を無かったことにしたいとはいえ、個人的には他の映画を意識するよりもエリック・バナ主演版を意識した内容にしてほしかったのですが、ただとある映画評論家がアン・リー監督版を見てアン・リー監督ゲイ説を導き出したことを思い出せば、そんな前作を無かったことにしたい気持ちも分からんでもないんですけどね. てな訳で『アベンジャーズ』への布石としてラストでトニー・スタークがノンクレジット出演してましたが、その肝心の『アベンジャーズ』にはエドワード・ノートンは出演せず、マーク・ラファロが代役に決定したとか. できればエリック・バナ再登板を希望したいのですが、無かったことにされた映画に出演していた俳優はハナからリスト外だったのでしょうか. ちょっと残念です. 深夜らじお@の映画館 はエドワード・ノートンを見るたびに海遊館を思い出します. ※お知らせとお願い ■ 【元町映画館】 に行こう. いい意味でも悪い意味でも冒険ファンタジーの王道をまっしぐら. 副題の邦題は的を射ていないし、未だに皮の剥けていない次男エドマンドと色気に目覚め始めた次女ルーシーの大人になりたくて仕方ないコンビの活躍もどうでもいい. そんなことよりも偏屈なユースチスを見事に再教育してみせた誇り高き騎士リーピチープの活躍だけをもっと見せてくれ! 前作 で長男ピーターと長女スーザンは卒業、今回は次男次女と従兄弟の3人で「なぜか壁掛けの絵から溢れ出た水に溺れているとそこはナルニア国でした」という前戯のないセックスの如く、すぐにナルニア国へれっつらご~. で、そこからは過去2作と同じようにご都合主義&浅はかな思考回路しか持たない主人公たちの活躍の連続ですわ. 色気に目覚めたルーシーは人様の魔法の本の1ページを破いては持って帰り最後は証拠隠滅のため焼き捨てるというエロ本を買えない男子中学生みたいなことをしてますいし、兄ピーターに嫉妬していたエドマンドに至っては兄の次は兄のように慕うカスピアンに嫉妬と全く成長の痕跡なしの状態. しかも「朝びらき丸」という船で7つの剣を集めるって「ワン○ース」と「ドラゴン○ール」を合わせたかのようなジャ○プ的冒険? と思われる旅の途中でもルーシーは何度も誘拐されるわ、エドマンドは何をやってもカスピアンの影に隠れるわと相変わらずツッコミ満載で途中からは完全にダレてしまうお話でしたが、ただ今回はそんなダレ場を誇り高きネズミ騎士リーピチープが何度となく救ってくれるんです. 特にユースチスに剣術を教えている船上時よりも、ドラゴンになってしまい涙を流すユースチスに寄り添い自分の冒険談を語る優しさや未来ある若造に朝まで隣で丸くなって眠るかわいらしさ、そして心が通じ合ったドラゴンユースチスと一緒になってウミヘビに戦いを挑む勇敢さはもう最高です. ルーシーが姉の弓矢で援護しようが、ユースチスが誘惑の霧を追い払い7本目の剣をアスランの食卓に届けようが、エドマンドが光る兄の剣をかざしてウミヘビを倒そうが、そんなワクワクしてしまう冒険ファンタジーの定番面白さに楽しんでいる自分がいようが、そんなのはもうどうでもいい! この映画はリーピチープの活躍だけ見れたらそれだけで十分なんです. だからこそそんなリーピチープがアスランの国を見たいという夢を叶えるため、ルーシーたちの元を去る最後は、恐らく今後彼の登場機会がないと思われる流れだっただけに、ちょっと淋しかったですね. それにしても今回のあのラストを見る限り、これでエドマンドとル-シーは卒業ということなんでしょうか? で、次はあのユースチスが主役? いやいやあの中途半端な存在感で主役はムリでしょ. 私は原作を全く読んでいないので今後どのような展開になるのかは分かりませんが、ただモーニング娘. のように卒業と新メンバーの追加を繰り返して人気が落ちてましたみたいなことだけは避けてほしいのですが、多分その願いはアスランでも叶えられないんでしょうね. 深夜らじお@の映画館 もルーシーのようにリーピチープの毛皮の感触を味わいたかったです. ※お知らせとお願い FFIV アルティメット パック』に付く ■ 【元町映画館】 に行こう.